
就職活動でAIを使ったことがあると回答した学生は84.9%でした。
マイナビが2026年5月26日に公表した、2027年卒業予定の大学生・大学院生1,258名への調査結果です。
もっとも多い用途はエントリーシート(ES)の推敲で、71.8%が使っています。
一方で、採用する企業側もAIを使っています。
経団連が2026年4月14日に公表した報告書によると、調査に答えた75社のうち、応募者のスクリーニングにAIを使っている企業が15社、面接のサポートに使っている企業が13社ありました。
ESを書くほうも読むほうもAIを通している状態がすでに数字に現れています。
同じ調査で、逆を向いているような興味深い数字もあります。
企業からAI面接を提示されたら受験意欲が下がる、と答えた学生が51.1%でした。
AIを使うのは当たり前になったのに、使われる側に回ると半数が身構える。本記事では、その落差がどこから来ているのかまでを踏み込んで解説します。
この記事でわかること
先に結論をまとめます。知りたい項目から読んでください。
| 知りたいこと | 結論 | 詳しくは |
|---|---|---|
| どれくらいの人が使っているか | 84.9%。1位はESの推敲で71.8% | 使われ方の数字 |
| 企業の側はどこで使っているか | 書類選考と面接。75社中15社と13社 | 企業側の利用 |
| AI面接はどう受け止められているか | 受験意欲が下がると答えた人が51.1% | AI面接の落差 |
| 推敲でAIは何をしているか | 直すのは形式。中身は足していない | 推敲の中身 |
| 使ってよい線引きは | 事実・体験・志望動機は自分。形式はAI | 線引き |
| 実際に使ってみた結果は | AIにESを推敲してもらった記録 | 自分で試した |
| いちばん大きい落とし穴は | 推敲を重ねるほど、他の人と似てくる | 平均化の罠 |
使われ方の数字を、まず押さえる
用途は「書く」に集中しています。
マイナビ「2027年卒 大学生キャリア意向調査4月<就活生のAI利用について>」(2026年5月26日公表、調査は2026年4月25日〜30日、回答1,258名)の調査結果を以下の表にまとめました。
| 項目 | 割合 |
|---|---|
| AIを使った経験がある | 84.9% |
| ESの推敲に使った | 71.8% |
| AIに就職活動の相談をした | 47.6% |
| 面接対策に使った | 38.4% |
| AI面接を受けたことがある | 28.2% |
| AIの普及で就職活動に変化が生じた | 62.6% |
利用する理由でもっとも多いのは「作業時間の短縮」で54.3%でした。
一方で、「自分だけの考えで決めるのは不安だから」を挙げた人も28.8%と、約3割います。
時間の短縮だけなら道具の話で終わりますが、不安だから使うとなると、判断そのものをAIに任せている可能性が出てきます。
もっとも、そこには歯止めもかかっているようです。
AIの回答を「判断材料の一つとして考慮する」と答えた人が68.7%。丸ごとAIの回答を採用するのではなく、材料の1つとして扱っている人が7割近くいます。
ここで、数字の読み方の注意を1つ。
この調査は、マイナビのサービスを使っている2027年卒の学生が対象です。
就職活動を情報サービス経由で進めている層が中心なので、学生全体の平均より利用率は高く出やすい傾向があります。
「8割が使っている」を、そのまま「大学生の8割が使っている」と受け取らないほうがよいでしょう。
企業の側も、選考でAIを使っている
AIの利用は応募する側だけの話ではありません。
企業側のデータも見ていきましょう。
経団連「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表)は、75社への調査結果です(調査期間は2025年11月27日〜12月15日)。
調査結果をまとめると以下の通りです。
- 9割以上(93%)の企業がAIを活用している(生成AIツールの利用を会社として許可しているだけの企業を含む)
- 応募者のスクリーニングに使っている企業が15社
- 面接のサポートに使っている企業が13社
- AIに関する責任者(CAIO)を役員ポジションとして設置している企業が35%
この報告書で注目したいのは、企業が自分に課している制約のほうです。
報告書には、採用・評価にAIを使う際の留意点として、次の記載があります。
採用・評価AIにおいて、性別・年齢等の属性情報を入力・学習させない
属性で差がつく判断を、仕組みとして止めにいっているということです。
AIは過去のデータから傾向を学びます。過去の採用に偏りがあれば、それをそのまま再現します。
入力しなければ学習もしないという当たり前の手当てを、わざわざ報告書に書いている点にこの問題の扱いにくさが出ています。
AI面接の数字だけが逆を向いている
AIを使うことには慣れたのに、AIに評価されることには慣れていません。
同じマイナビの調査で、AI面接を受けたことがある学生は28.2%。
ところが、企業からAI面接を提示されたら受験意欲が下がる、と答えた人は51.1%です(「どちらかと言えば受験意欲が下がる」を含む)。
下がる理由として「人に評価してほしいから」(55.2%)と「AI(機械)に判断されたくないから」(50.9%)が上位でした。
84.9%が使う道具に、半数が評価されたくないと答えている。
この逆を向いていると見える数字の落差は、AIの精度の話ではないはずです。

受験意欲が下がる「人に評価してほしいから」「AI(機械)に判断されたくないから」という2つの理由を、受ける側の感覚に分けると次の3つになります。
1つ目は、何を見られているのか分からないこと。
人の面接官なら、うなずきや表情から伝わっているかが分かります。
AI面接では、話し方を見ているのか内容を見ているのか時間を見ているのかが分かりません。
2つ目は、落ちた理由が説明されないこと。
人が落とした場合も理由は明かされませんが、少なくとも「人が見た」という納得の余地があります。
AIだけで落ちたとなると、その余地がなくなります。
3つ目は、やり直しがない感覚。
機械が相手だと、噛んだ・言い直した・言葉に詰まった、といった部分が全部記録されているように感じてしまいます。
ここは、企業が「AIをどこまで使い、最終判断は誰がするのか」を先に開示すればかなりやわらぐ部分です。
経団連の報告書で属性情報の扱いが留意点に挙がっているのも、同じ方向の話だと捉えられます。
推敲でAIが実際にやっていること・やっていないこと
AIが直しているのは形式です。中身は足していません。
ESの推敲が用途の1位(71.8%)です。具体的に見てみましょう。
AIに文章を渡したときに起きることは、おおむね次の3つに分けられます。
| AIがやること | 具体的には |
|---|---|
| 形を整える | 一文を短くする、重複を削る、順番を入れ替える、敬体をそろえる |
| 抜けを指摘する | 「結論が先にない」「具体例がない」「数字がない」と指摘する |
| 埋める | 書かれていない前提を、もっともらしい言葉で補う |
問題は3つ目の埋めるです。
情報が足りないとき、AIは「書かない」より「もっともらしく埋める」ほうを選びます。
ESでは自分がやっていない経験が、自分の文章として出てしまいます。
この現象そのものは、用語の記事で扱っています。
→ ハルシネーションとは|5段階でわかる用語解説
なぜ自信のある口調で間違えるのかを、仕組みの側から解説しています。
止めるためには禁止事項を1行入れることです。
以下のESを推敲してください。
【本文を貼り付け】
条件:書かれていない事実を推測で足さない。
情報が足りない箇所は「※ここに具体的な数字を入れる」と
印を付けて返す。文体は元のまま変えない。
直した箇所は、変更理由を一覧で示す。
プロンプトに、「推測で足さない」と「変更理由を一覧で示す」の2行があると、直された箇所を1つずつ自分で判断できます。
理由が付いていないと、全部受け入れるか全部捨てるかの二択になります。
プロンプトについて、指示の組み立て方そのものはこちらにまとめています。
→ プロンプトとは?生成AIで必須の用語の意味と、初心者が最初に覚える「1つの型」を解説
役割・条件・出力形式・制約の4点セットの話です。
線引きは「形式」と「中身」
使ってよいか悪いかではなく、どこまでを自分の言葉として出せるかで分けます。
この線引きは、宿題にAIを活用する記事で述べた構造と同じです。
→ 夏休みの宿題とAI|「丸写し」と「賢い使い方」の線引きを親子で考える
提出物を通して「何を自分でやったことにするか」を考える記事です。
就職活動に当てはめると、次の表になります。
| 工程 | AIに任せてよいか | 理由 |
|---|---|---|
| 業界・企業の情報を集める | 任せてよい。ただし出典を確認する | 事実確認は自分の仕事 |
| 自己分析の問いを出させる | 任せてよい | 問いは道具。答えは自分 |
| 経験を書き出す | 自分でやる | AIは経験を持っていない |
| 志望動機を考える | 自分でやる | ここを任せると全部が崩れる |
| 文章の形を整える | 任せてよい | 形式の作業 |
| 誤字・敬語・文字数の確認 | 任せてよい | 機械的にできる |
| 想定質問を出させる | 任せてよい | 準備の材料 |
| 面接で話す言葉を決める | 自分でやる | 覚えた言葉は面接で崩れる |

「自分でやる」に入れた3つには、共通点があります。
面接で深掘りされたときに、答えられなくなる項目だという点です。
ESに書いた1行について「それはなぜですか」と聞かれると、自分で考えていない部分は答えが止まる可能性が高くなります。
推敲を頼む前に、その1行を3回深掘りして答えられるかを自分で試してください。答えられないなら、それはまだ書ける段階ではありません。
生成AIに入力してよい情報とだめな情報の線引きも、あわせて確認しておくと良いでしょう。
→ 生成AIに入力してよい情報とだめな情報|設定だけでは防げないこと【2026年9月】
設定でつぶせるリスクと、入力しないことでしかつぶせないリスクを分けて書いています。
インターンや研究で知った未公開の情報を、そのままESの材料として貼らないための判断基準です。
自分で試してみた
自分の職務経歴書の自己PR(858文字)を、AIに推敲してもらいました。試したのは2026年10月30日で、使ったのはClaude の Proプランです。
| 直された箇所 | うち、書いていない内容が足された箇所 | 文字数 | |
|---|---|---|---|
| 制約なし | 9 | 2 | 858 → 821 |
| 制約あり | 17 | 0 | 858 → 980 |
制約なしで足された2か所は、「業務内容」「経験」でした。
どれも私が書いていない内容です。読み返しても文体が自然で、言われなければ自分で書いたと思ったかもしれません。
制約ありのほうは、足された箇所が0でした。
代わりに「※確認してほしい点」という印が3か所付いて返ってきました。
印が付いた場所は、たしかに自分でも曖昧なままにしていた部分であったので確認して書き直したほうがいいという部分でした。
結論として、推敲そのものは使えます。
ただし「推測で足さない」を入れない推敲は、そのまま提出できません。
足された2か所は、面接で聞かれたら答えられない内容でした。
いちばん大きい落とし穴は、誤りではなく「平均化」
推敲を重ねるほど、他の人の文章と似てきます。
AIの推敲は、多くの文章から学んだ読みやすい形に寄せる作業です。
なので1回行うたびに、少しずつありふれた内容に寄っていきます。
調査結果からわかった84.9%が同じ道具を使い、71.8%が同じ用途(推敲)に使っているとき、何が起きるか。
全員の文章が、同じ方向に整えられていきます。
読む側から見ると、次のような形になりやすいはずです。
- 結論が先に来る
- 一文が短い
- 「私は〜と考えます」で締める
- 具体例が1つずつ、きれいに配置されている
どれも悪い文章ではありません。むしろ整っています。
ただし、整った文章が100通並んだとき、差がつくのは整い方ではありません。
差がつくのは、AIが作れない部分です。
| AIが作れない部分 | ESでの現れ方 |
|---|---|
| 具体的な数字 | 何人、何回、何か月、いくら |
| 固有名詞 | どの授業、どのバイト、どの大会 |
| うまくいかなかった話 | やめた理由、続かなかった理由 |
| その時に考えたこと | 判断を変えた瞬間 |
この中でも重要なのはうまくいかなかった話です。
うまくいった話だけを並べた文章は、AIが書いたものと見分けがつきません。
失敗を具体的に書けるのは、実際にやった人だけだからです。
そのため推敲の使い方としては、次の順序が適切です。
- 数字と固有名詞と失敗を、粗いままでいいので自分で書き出す
- 書き出したものを並べ替え、順番を自分で決める
- そのあとで形を整えさせる
- 整えられた文章から、自分が言わない言葉を戻す
推敲後の文章を読み返して、自分が普段使わない言葉が入っていたら、そこは元に戻しましょう。
面接でその言葉を口に出したとき、自分の声にならないからです。
使う側と使われる側が同じ画面の両側にいる
学生の84.9%がAIで書き、企業の一部がAIで読む。
この数字の組み合わせが、いまの就職活動の特徴です。
書類選考にAIを使っている企業は75社中15社なので、まだ全体ではありません。
それでも、書くほうと読むほうの両方に同じ技術が入っているという状態は、これまでになかった形です。
ここから2つの可能性を予測できます。どちらも断定ではなく仮定の話だと考えてください。
1つ目は、ESの重みが下がる可能性。
全員が整った文章を出せるようになると、文章の質では差がつきません。
差がつかない部分は、選考での比重が下がります。
2つ目は、深掘りの比重が上がる可能性。
書いたものが本人のものかを確かめる方法は、結局のところ聞くことです。
ESの1行について、その場で3回聞く。この深掘りの比重が高まる可能性があります。
どちらにしても、書く工程をAIに任せるほど、話すことへの準備が重要になります。
対策への時間の使い方は、推敲で浮いた時間を、深掘りへの備えに回すのが合理的になるでしょう。
雇用やキャリアの側から見た大きな変化は、別記事にまとめています。
→ AIで若手の仕事は減るのか|データで見る新卒・20代の雇用と、就活・転職で示すべきこと【2026年版】
「入口の仕事」が変わることで、最初の職場の選び方がどう変わるかを書いています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 就活でAIを使うのはずるいことになりますか。
用途によります。形式を整えること、情報を集めること、想定質問を出させることは道具の使い方です。志望動機や経験そのものを書かせると、面接で答えられなくなります。判断の基準は「ずるいかどうか」ではなく「深掘りされたときに自分で答えられるか」です。
Q2. 企業はAIで書いたESを見分けられますか。
見分ける仕組みがあるかどうかは、企業によります。ただし本文に書いたとおり、確かめる方法として確実なのは面接での深掘りです。書いた本人でなければ、同じ話を角度を変えて何回も続けられません。
Q3. AI面接は受けたほうがよいですか。
調査では、AI面接を提示されたら受験意欲が下がると答えた人が51.1%でした。受けるかどうかの前に、その企業がAIをどこまで使い、最終判断を誰がするのかを説明しているかを見てください。説明があるかどうかは、選考以外の場面でのその会社の姿勢を測る材料にもなります。
Q4. ESの推敲をAIに任せると、内容まで変わってしまいませんか。
変わることがあります。情報が足りない箇所を推測で埋めるためです。プロンプトに「書かれていない事実を推測で足さない」と「情報が足りない箇所は印を付けて返す」の2行を入れてください。本文にそのまま使える形で載せています。
Q5. 志望動機もAIに考えてもらってよいですか。
おすすめしません。志望動機は、面接でもっとも深く聞かれる項目です。AIが出した文章は、そのテーマで一般に書かれている内容に寄るので、深掘りされると根拠が続きません。問いを出させる(「この会社を志望する理由として、どんな観点がありますか」)ところまでにして、答えは自分で書いてください。
Q6. 面接で話す内容もAIに作らせてよいですか。
作らせた言葉は、面接の場で崩れます。緊張すると、覚えた文章から先に飛ぶためです。想定質問を出させるところまでを任せて、答えは箇条書きで自分の言葉にしておくほうが、その場で組み立て直せます。
Q7. 就活の相談をAIにするのはどうですか。
調査では47.6%が相談しています。相談すること自体は問題ありませんが、AIは相談者の状況を確かめずに答えます。同じ質問を人にもしてみて、答えが食い違った箇所を自分で確かめてください。調査でも、AIの回答を「判断材料の一つとして考慮する」という人が68.7%で、丸ごと採用してはいない人が多数派です。
まとめ
就職活動でAIを使ったことがある学生は84.9%、用途の1位はESの推敲で71.8%でした。
一方で企業の側も、75社中15社が書類選考に、13社が面接のサポートにAIを使っています。
ただし、AI面接を提示されたら受験意欲が下がると答えた人が51.1%います。
使うことには慣れたのに、使われることには慣れていないという状態が、数字に出ています。
使い方の線引きは、形式と中身で引きます。
形を整える、情報を集める、想定質問を出させるところまでは道具の使い方です。
経験と志望動機、面接で話す言葉は、自分で書かないと深掘りに耐えません。
そして、いちばん大きい落とし穴は誤りではなく平均化です。
全員が同じ道具で整えるほど、整い方では差がつかなくなります。
差が残るのは、数字と固有名詞と、うまくいかなかった話。AIが作れない部分だけが、最後に残ります。
次に読む
この記事は「AI活用」の1本です。
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この記事を書いた人:kkazuki|AI/DX分野ブログ運営者 → 運営者情報
※調査結果と企業の運用は、公表時点の情報です。選考の方法は毎年変わるため、志望先の募集要項で最新の内容を確認してください。
参考
本文の内容は2026年10月17日に確認した以下の記事を参考にしました。
- マイナビキャリアリサーチLab「2027年卒 大学生キャリア意向調査4月<就活生のAI利用について>」(2026年5月26日公表、調査期間2026年4月25日〜30日、2027年3月卒業予定の大学生・大学院生、有効回答1,258名)
- 一般社団法人日本経済団体連合会「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」(2026年4月14日公表、調査対象75社、調査期間2025年11月27日〜12月15日)
- 本記事の推敲の検証は、筆者が自分の文章で実施した結果です(使用したサービス・プラン・実施日は本文に記載)

