
生成AIに入れた内容が学習に使われるかどうかは、たいていのサービスで設定を切り替えられます。
ただし、オフにしても入力内容はアカウントの履歴に残り続けます。
消えるのは「学習に使われる」ことだけで、「どこにも残らない」わけではありません。
そして既定値はサービスによって正反対です。
ChatGPTの個人向けプランは既定で学習に使われ、Claudeは自分で選ぶまで使われません。
設定を1つ覚えて全部に当てはめる、という済ませ方ができない領域です。
この記事では、設定でつぶせるリスクとつぶせないリスクを分けたうえで、
私が毎日Claudeを使うなかで実際に線を引いている基準を書きます。
この記事でわかること
先に結論をまとめます。知りたい項目から読んでください。
| 知りたいこと | 結論 | 詳しくは |
|---|---|---|
| リスクは何種類あるか | 学習利用、アカウント流出、履歴の残存の3つ | リスクの分解 |
| 設定で消せるのはどれか | 学習利用だけ。履歴は消えない | 設定でできること |
| 既定値はサービス共通か | 正反対。ChatGPTは既定でオン、Claudeは既定でオフ | 設定でできること |
| 結局、何を入力してはいけないか | 他人の個人情報、認証情報、勤務先の未公開情報 | 3段階の線引き |
| 実務の相談はどうするか | 固有名詞を置き換えれば、相談の質はほぼ落ちない | 3段階の線引き |
| 判断に迷う場面は | メールの文面から返信を考える | 迷った実例 |
| 会社で使う場合は | 個人設定の変更と、業務利用の可否は別の問題 | 会社で使う場合 |
「情報漏洩」を3つに分ける
一括りにされがちですが、性質の違うものが混ざっています。
学習への利用:入れた内容がモデルの改善に使われるかどうかです。設定で切り替えられます。
アカウントの流出:パスワードの使い回しや端末の紛失で、アカウントごと他人に見られる問題です。設定では防げず、多要素認証と習慣で防ぎます。
履歴の残存:入れた内容がサービス側に保存され続けることです。これは設定では消せません。
3つ目が見落とされます。
学習をオフにしても履歴は残りますし、多要素認証をかけても残ります。
残ることを前提に、何を入れるかで管理するしかありません。
設定でできること、できないこと
やる設定は2つです。
- 学習利用の設定を確認して、必要ならオフにする
- 多要素認証を有効にする
1つ目は、サービスごとに既定値が違うので確認が要ります。
横断の記録は別記事にまとめました。
→ AI学習オプトアウト設定2026|主要8サービスの手順
7サービスの設定画面名と、既定でオンかオフかを確認日つきで記録しています。
そのうえで、設定しても残るものを整理します。
| 設定後の状態 | |
|---|---|
| モデルの改善への利用 | 使われなくなる |
| 会話の履歴 | 残る。画面からこれまでどおり見られる |
| 履歴を残さないモードで送った内容 | 一定期間は保存される。サービスごとに期間が違う |
| 過去に入力した内容 | サービスによっては遡及の扱いが明記されていない |
「一時的な会話」や「履歴を残さない」という機能も、送った瞬間に消えるわけではありません。
不正利用の監視という目的で一定期間保持される、と規約やヘルプに書かれているのが普通です。
消える場所ではなく、預けている場所だと考えて判断することになります。
入力の線引きを3段階にする
設定を変えても、「入力しない」がいちばん強い防御であることは変わりません。
私は3段階で線を引いています。

入力しない
- 他人の個人情報(氏名と連絡先の組み合わせなど)
- パスワード、APIキー、口座番号
- 勤務先の未公開情報(社外秘の資料、顧客のデータ)
3つ目について補足します。
勤務先がAIの利用を認めていても、機密の区分は別の話です。
「AIを使ってよい」と「この資料を外に出してよい」は、別々の許可になります。
匿名化すれば入力する
実務の相談ごとは、この段に入ります。
「A社」「担当のBさん」に置き換えれば、相談の質はほとんど落ちません。
置き換えは手間に見えますが、慣れれば数秒です。
固有名詞を抽象化すると、回答が一般化されて他の場面にも使えるようになる、という副作用もありました。
そのまま入力する
- 公開されている情報
- 一般的な質問
- 自分だけに関わる内容
3段階に分けておくと、迷ったときに「どの段か」を考えるだけで済みます。
毎回ゼロから判断するより速く、判断がぶれません。
判断に迷った実例
判断に特に迷ったのは、受け取ったメールの文面を貼って返信を考えさせるときです。
差出人の名前と会社名を消せば済むと思っていました。
ところが本文に案件の固有名詞が入っていると、消す場所が増えていきます。
4か所目を消したあたりで、確認より置き換えのほうが時間を食っていることに気付きました。
今はメールを貼るのをやめています。
代わりに「相手はこう言っている」という要約を自分で3行書いて、それを渡す形にしました。
要約する手間はかかりますが、消し忘れの心配がなくなったぶん、結果的に速くなっています。
この一件で、線引きのルールを1つ足しました。
「消す箇所が3つを超えたら、貼るのをやめて要約する」です。
数で決めておくと、その場で悩まずに済みます。
プロジェクトや資料の置き場所にも同じ線を引く
会話に貼る内容だけでなく、サービス側に置いたままにする資料にも同じ判断が要ります。
Claudeのプロジェクト機能のように、資料をアップロードして参照させ続ける仕組みがあります。
便利なぶん、置いたことを忘れます。
会話は流れていきますが、置いた資料は消すまで残り続けます。
私がプロジェクトに置かないと決めているのは、他人が書いた文章そのものです。
引用の範囲で本文に貼ることはありますが、資料として丸ごと置くのはやめています。置いた資料は自分では読み返さないので、何が入っているか把握できなくなるためです。
→ Claudeのプロジェクト機能の設定と、実際に運用している中身【2026年9月】 プロジェクトに何を置き、何を置かないかを、実際の運用で書いています。
会社で使う場合
個人アカウントの設定変更と、業務での利用可否は別の問題です。
勤務先にAI利用のガイドラインがあるなら、そちらが優先します。
ガイドラインがない場合のほうがむしろ判断が難しく、「禁止されていない」は「入力してよい」を意味しません。
法人向けのプランでは、既定の扱いが個人向けと異なります。
自分のアカウントが個人向けか法人向けかを、まず確認してください。
業務で使うときの規約の読み方は、用語記事にまとめています。
→ 生成AIの商用利用とは|5段階でわかる用語解説
利用規約のどこを見れば判断できるかを、レベル別に分けて解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 学習をオフにすると、履歴も消えますか。
消えません。履歴はこれまでどおり見られます。変わるのは、モデルの改善に使われなくなることだけです。
Q2. サービスによって既定値は違いますか。
違います。ChatGPTの個人向けプランは既定で学習に使われ、Claudeは自分で選ぶまで使われません。設定を1つ覚えて全部に当てはめることはできません。
Q3. 「履歴を残さない」機能を使えば、どこにも残りませんか。
残ります。学習には使われませんが、一定期間は保存されるのが普通です。期間はサービスごとに違います。
Q4. 匿名化すれば、社内の資料を貼ってもよいですか。
会社の機密区分の判断が先です。匿名化は個人情報への対策であって、社外秘の資料を外に出してよい理由にはなりません。
Q5. 無料版と有料版で、扱いは違いますか。
個人向けプランのあいだでは同じことが多いです。法人向けのプランは既定の扱いが異なるので、自分のアカウントの種類を確認してください。
Q6. 設定はどれくらいの頻度で見直すべきですか。
画面の構成と項目名は変わります。私は記事を更新するタイミングで確認し直しています。
Q7. 具体的な設定手順はどこにありますか。
8サービス分を確認日つきでまとめた記事があります。本文からリンクしています。
まとめ
設定でできるのは「これから入力するものを学習に使わせない」ことまでです。
履歴は残りますし、履歴を残さないモードで送ったものも一定期間は保存されます。
そのため、実際に効くのは入力の線引きのほうでした。
他人の個人情報と認証情報と勤務先の未公開情報は入れない、実務の相談は固有名詞を置き換えて入れる、公開情報はそのまま入れる。
この3段階に分けておくと、迷ったときに「どの段か」を考えるだけで判断できます。
そして、会話に貼るものだけでなく、置きっぱなしにする資料にも同じ線を引いてください。
会話は流れていきますが、置いた資料は消すまで残ります。
次に読む
この記事は「AI活用」の1本です。
土台から確認したい方へ
設定画面は変わりますが、なぜこの設定が要るのかという考え方は変わりません。
→ オプトアウトとは|ChatGPTなどAIに学習させない設定と、オフでも残ること
オプトアウトという言葉の意味と、サービスごとの考え方の違いを解説した記事です。
同じ場面で役に立つ記事
→ AI学習オプトアウト設定2026|主要8サービスの手順
この記事で扱わなかった設定手順を、7サービス分、確認日つきで記録しています。
→ AIの「学習」とは|5段階でわかる用語解説
「学習に使われる」が具体的に何を指すのかを、工程から解説しています。
→ 会社の生成AIルールはどう作られているのか|AI事業者ガイドライン第1.2版と、公開されているチェックリスト【2026年】
個人の線引きを会社のルールにするときの土台(AI事業者ガイドライン第1.2版)です。
用語の全体像はこちらで確認できます。
→ 今さら聞けないAI用語30選|初心者でもニュースが読めるようになる意味と読み方
この記事を書いた人:kkazuki|AI/DX分野ブログ運営者 → 運営者情報
※各サービスの仕様は2026年9月時点の情報です。設定画面と既定値は変更されるため、操作前に実際の画面を確認してください。
参考
- 各サービスの設定と既定値は、動向記事
/ai-optout-settings/に確認日つきで記載しています
内容は2026年9月29日に、以下の資料で確認しました。
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(令和5年6月2日)
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日)

