生成AIに入力してよい情報とだめな情報|設定だけでは防げないこと【2026年9月】

白い机でノートパソコンに文字を入力する手元

生成AIに入れた内容が学習に使われるかどうかは、たいていのサービスで設定を切り替えられます。

ただし、オフにしても入力内容はアカウントの履歴に残り続けます。
消えるのは「学習に使われる」ことだけで、「どこにも残らない」わけではありません。

そして既定値はサービスによって正反対です。
ChatGPTの個人向けプランは既定で学習に使われ、Claudeは自分で選ぶまで使われません。
設定を1つ覚えて全部に当てはめる、という済ませ方ができない領域です。

この記事では、設定でつぶせるリスクとつぶせないリスクを分けたうえで、
私が毎日Claudeを使うなかで実際に線を引いている基準を書きます。

この記事でわかること

先に結論をまとめます。知りたい項目から読んでください。

知りたいこと結論詳しくは
リスクは何種類あるか学習利用、アカウント流出、履歴の残存の3つリスクの分解
設定で消せるのはどれか学習利用だけ。履歴は消えない設定でできること
既定値はサービス共通か正反対。ChatGPTは既定でオン、Claudeは既定でオフ設定でできること
結局、何を入力してはいけないか他人の個人情報、認証情報、勤務先の未公開情報3段階の線引き
実務の相談はどうするか固有名詞を置き換えれば、相談の質はほぼ落ちない3段階の線引き
判断に迷う場面はメールの文面から返信を考える迷った実例
会社で使う場合は個人設定の変更と、業務利用の可否は別の問題会社で使う場合

「情報漏洩」を3つに分ける

一括りにされがちですが、性質の違うものが混ざっています。

学習への利用:入れた内容がモデルの改善に使われるかどうかです。設定で切り替えられます。

アカウントの流出:パスワードの使い回しや端末の紛失で、アカウントごと他人に見られる問題です。設定では防げず、多要素認証と習慣で防ぎます。

履歴の残存:入れた内容がサービス側に保存され続けることです。これは設定では消せません。

3つ目が見落とされます。
学習をオフにしても履歴は残りますし、多要素認証をかけても残ります。
残ることを前提に、何を入れるかで管理するしかありません。

設定でできること、できないこと

やる設定は2つです。

  1. 学習利用の設定を確認して、必要ならオフにする
  2. 多要素認証を有効にする

1つ目は、サービスごとに既定値が違うので確認が要ります。
横断の記録は別記事にまとめました。

→ AI学習オプトアウト設定2026|主要8サービスの手順
 7サービスの設定画面名と、既定でオンかオフかを確認日つきで記録しています。

そのうえで、設定しても残るものを整理します。

設定後の状態
モデルの改善への利用使われなくなる
会話の履歴残る。画面からこれまでどおり見られる
履歴を残さないモードで送った内容一定期間は保存される。サービスごとに期間が違う
過去に入力した内容サービスによっては遡及の扱いが明記されていない

「一時的な会話」や「履歴を残さない」という機能も、送った瞬間に消えるわけではありません。
不正利用の監視という目的で一定期間保持される、と規約やヘルプに書かれているのが普通です。
消える場所ではなく、預けている場所だと考えて判断することになります。

入力の線引きを3段階にする

設定を変えても、「入力しない」がいちばん強い防御であることは変わりません。
私は3段階で線を引いています。

生成AIに入力してよい情報を3段階に分けた図。入力しないのは、他人の個人情報、パスワードやAPIキーや口座番号、勤務先の未公開情報。匿名化すれば入力するのは実務の相談ごとで、「A社」「担当のBさん」に置き換える。そのまま入力してよいのは、公開されている情報、一般的な質問、自分だけに関わる内容。あわせて、学習への利用は設定で切り替えられ、アカウントの流出は多要素認証などで守れるが、履歴の残存は設定では消せないことを示している。
設定で防げるのは3つのうち1つだけ。残ることを前提に、何を入れるかで管理する。

入力しない

  • 他人の個人情報(氏名と連絡先の組み合わせなど)
  • パスワード、APIキー、口座番号
  • 勤務先の未公開情報(社外秘の資料、顧客のデータ)

3つ目について補足します。
勤務先がAIの利用を認めていても、機密の区分は別の話です。
「AIを使ってよい」と「この資料を外に出してよい」は、別々の許可になります。

匿名化すれば入力する

実務の相談ごとは、この段に入ります。

「A社」「担当のBさん」に置き換えれば、相談の質はほとんど落ちません。
置き換えは手間に見えますが、慣れれば数秒です。

固有名詞を抽象化すると、回答が一般化されて他の場面にも使えるようになる、という副作用もありました。

そのまま入力する

  • 公開されている情報
  • 一般的な質問
  • 自分だけに関わる内容

3段階に分けておくと、迷ったときに「どの段か」を考えるだけで済みます。
毎回ゼロから判断するより速く、判断がぶれません。

判断に迷った実例

判断に特に迷ったのは、受け取ったメールの文面を貼って返信を考えさせるときです。
差出人の名前と会社名を消せば済むと思っていました。
ところが本文に案件の固有名詞が入っていると、消す場所が増えていきます。
4か所目を消したあたりで、確認より置き換えのほうが時間を食っていることに気付きました。

今はメールを貼るのをやめています。
代わりに「相手はこう言っている」という要約を自分で3行書いて、それを渡す形にしました。
要約する手間はかかりますが、消し忘れの心配がなくなったぶん、結果的に速くなっています。

この一件で、線引きのルールを1つ足しました。
「消す箇所が3つを超えたら、貼るのをやめて要約する」です。
数で決めておくと、その場で悩まずに済みます。

プロジェクトや資料の置き場所にも同じ線を引く

会話に貼る内容だけでなく、サービス側に置いたままにする資料にも同じ判断が要ります。

Claudeのプロジェクト機能のように、資料をアップロードして参照させ続ける仕組みがあります。
便利なぶん、置いたことを忘れます。
会話は流れていきますが、置いた資料は消すまで残り続けます。

私がプロジェクトに置かないと決めているのは、他人が書いた文章そのものです。
引用の範囲で本文に貼ることはありますが、資料として丸ごと置くのはやめています。置いた資料は自分では読み返さないので、何が入っているか把握できなくなるためです。

→ Claudeのプロジェクト機能の設定と、実際に運用している中身【2026年9月】  プロジェクトに何を置き、何を置かないかを、実際の運用で書いています。

会社で使う場合

個人アカウントの設定変更と、業務での利用可否は別の問題です。

勤務先にAI利用のガイドラインがあるなら、そちらが優先します。
ガイドラインがない場合のほうがむしろ判断が難しく、「禁止されていない」は「入力してよい」を意味しません。

法人向けのプランでは、既定の扱いが個人向けと異なります。
自分のアカウントが個人向けか法人向けかを、まず確認してください。

業務で使うときの規約の読み方は、用語記事にまとめています。
→ 生成AIの商用利用とは|5段階でわかる用語解説
 利用規約のどこを見れば判断できるかを、レベル別に分けて解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 学習をオフにすると、履歴も消えますか。

消えません。履歴はこれまでどおり見られます。変わるのは、モデルの改善に使われなくなることだけです。

Q2. サービスによって既定値は違いますか。

違います。ChatGPTの個人向けプランは既定で学習に使われ、Claudeは自分で選ぶまで使われません。設定を1つ覚えて全部に当てはめることはできません。

Q3. 「履歴を残さない」機能を使えば、どこにも残りませんか。

残ります。学習には使われませんが、一定期間は保存されるのが普通です。期間はサービスごとに違います。

Q4. 匿名化すれば、社内の資料を貼ってもよいですか。

会社の機密区分の判断が先です。匿名化は個人情報への対策であって、社外秘の資料を外に出してよい理由にはなりません。

Q5. 無料版と有料版で、扱いは違いますか。

個人向けプランのあいだでは同じことが多いです。法人向けのプランは既定の扱いが異なるので、自分のアカウントの種類を確認してください。

Q6. 設定はどれくらいの頻度で見直すべきですか。

画面の構成と項目名は変わります。私は記事を更新するタイミングで確認し直しています。

Q7. 具体的な設定手順はどこにありますか。

8サービス分を確認日つきでまとめた記事があります。本文からリンクしています。

まとめ

設定でできるのは「これから入力するものを学習に使わせない」ことまでです。
履歴は残りますし、履歴を残さないモードで送ったものも一定期間は保存されます。

そのため、実際に効くのは入力の線引きのほうでした。
他人の個人情報と認証情報と勤務先の未公開情報は入れない、実務の相談は固有名詞を置き換えて入れる、公開情報はそのまま入れる。
この3段階に分けておくと、迷ったときに「どの段か」を考えるだけで判断できます。

そして、会話に貼るものだけでなく、置きっぱなしにする資料にも同じ線を引いてください。
会話は流れていきますが、置いた資料は消すまで残ります。

次に読む

この記事は「AI活用」の1本です。

土台から確認したい方へ

設定画面は変わりますが、なぜこの設定が要るのかという考え方は変わりません。
→ オプトアウトとは|ChatGPTなどAIに学習させない設定と、オフでも残ること
 オプトアウトという言葉の意味と、サービスごとの考え方の違いを解説した記事です。

同じ場面で役に立つ記事

→ AI学習オプトアウト設定2026|主要8サービスの手順
 この記事で扱わなかった設定手順を、7サービス分、確認日つきで記録しています。

→ AIの「学習」とは|5段階でわかる用語解説
 「学習に使われる」が具体的に何を指すのかを、工程から解説しています。

→ 会社の生成AIルールはどう作られているのか|AI事業者ガイドライン第1.2版と、公開されているチェックリスト【2026年】
 個人の線引きを会社のルールにするときの土台(AI事業者ガイドライン第1.2版)です。

用語の全体像はこちらで確認できます。
→ 今さら聞けないAI用語30選|初心者でもニュースが読めるようになる意味と読み方

この記事を書いた人:kkazuki|AI/DX分野ブログ運営者 → 運営者情報

※各サービスの仕様は2026年9月時点の情報です。設定画面と既定値は変更されるため、操作前に実際の画面を確認してください。

参考

  • 各サービスの設定と既定値は、動向記事 /ai-optout-settings/ に確認日つきで記載しています

内容は2026年9月29日に、以下の資料で確認しました。

タイトルとURLをコピーしました