生成AIの商用利用とは|5段階でわかる用語解説

無数の映像パネルに囲まれて、スマートフォンを掲げる手

「無料で使えるから、仕事にも使えるだろう」。この判断が、生成AIをめぐる事故で最も多い出発点です。
無料であることと、商用利用が認められることは別の話です。本記事では、その線引きを5つのレベルに分けて並べました。

なお、各サービスの規約は変更されます。本文は一般的な考え方の整理であり、実際の判断は最新の規約と、必要に応じて専門家の確認を経てください。

どこから読むか

本記事は、同じ用語を5つのレベルに分けて解説しています。
当てはまるものを選んで、そこから読み始めてください。

→ この言葉を今日はじめて見た … Level 1から読む(3分)
→ 言葉は知っているが、人には説明できない … Level 2から読む(5分)
→ 説明はできるが、仕組みまでは怪しい … Level 3から読む(7分)
→ 仕事で使うかどうかを判断したい … Level 4から読む(10分)
→ 実装する、または技術記事を原典で読む … Level 5から読む(9分)

迷ったらLevel 1から読んでください。
知っている内容なら、数十秒で読み終えられます。

1分で腕試し

理解度から決めたい場合は、次の4問を試してください。
Q1〜Q4は、Level 1〜4の内容に1問ずつ対応しています。
最初にまちがえた問題のLevelが、あなたのスタート地点です。
4問とも正解なら、Level 5から読んでください。

各レベルの終わりにも、4択の理解度チェックがあります。
ITパスポート試験と応用情報技術者試験の過去問題も入れています。

著作権の論点があやふやな場合は、先にこちらを読んでください。
→ 著作権とAI|5段階でわかる用語解説

Q1.【オリジナル】無料で使える画像生成AIで作った絵を、グッズにして売りたい。最も適切な考え方はどれか。

  • ア 有料のサービスで作ったものは、どれも売ってはいけない
  • イ AIが作ったものは誰のものでもないので、何をしてもよい
  • ウ 無料かどうかとは別に、売ってよいかはサービスの決まり(利用規約)で確かめる
  • エ 無料で使えるサービスなら、作ったものは自由に売ってよい

正解:ウ

解説:
「無料で使える」と「売ってもいい」は別のことです。
無料でも作ったものを売ってはいけないサービスがあり、お金を払えば売ってよくなるサービスもあります。
イは誤りです。サービスの決まりで使ってよい範囲が決まり、誰かの作品に似ていれば別の問題も起きます。
アは誤りです。有料のプランで商用利用を認めているサービスがあります。
→ まちがえたら Level 1から

Q2.【オリジナル】無料プランで生成した画像を、非公開の企画に使おうとしている。とくに見落とされやすく、確かめておくべき設定はどれか。

  • ア 生成した画像が、サービスの公開ギャラリーに載る設定になっていないか
  • イ 画面の文字の大きさ
  • ウ 生成にかかった時間
  • エ 画像の背景の色

正解:ア

解説:
無料プランでは、生成物が公開される設定になっている場合があります。
非公開の企画で使うなら、この設定を確かめないと、企画の内容が先に外へ出てしまいます。
イ、ウ、エは、商用利用の確認とは関係がありません。
→ まちがえたら Level 2から

Q3.【オリジナル】利用規約で商用利用が認められているサービスで、広告の画像を作った。このあと確認すべきこととして、最も適切なものはどれか。

  • ア 既存の作品に似ていないか(権利の層)と、納品先の要求(取引先の層)を、規約とは別に確認する
  • イ 同じ指示文で、もう一度生成し直す
  • ウ 規約で商用可なので、ほかに確認することはない
  • エ 生成にかかった費用だけを確認する

正解:ア

解説:
商用利用の可否は、契約(規約)、権利、取引先の3つの層に分けて考えます。
3つは独立していて、規約を満たしても、他の2つが満たされるわけではありません。
ウのように「規約を確認した」で止めると、残りの2つが抜けます。
→ まちがえたら Level 3から

Q4.【オリジナル】担当者が個人アカウントの生成AIで作った素材が、会社のサイトにそのまま公開されていた。再発を防ぐ方法として、最も適切なものはどれか。

  • ア 個人アカウントのほうが自由なので、全員に個人アカウントを使わせる
  • イ 公開されたあとで、気付いた人が個別に注意する
  • ウ 業務で使えるサービスの一覧を明示し、制作物を受け入れるときに使ったサービスの申告を必須にする
  • エ 生成AIの利用を、全面的に黙認する

正解:ウ

解説:
個人アカウントでの制作物の混入は、最も多い事故の形です。
使ってよいサービスを一覧にし、受け入れの工程で申告させれば、混入に気付けます。
エとイでは、同じことが繰り返されます。
アは、商用利用や入力データの扱いの条件が満たされないことが多くなります。
→ まちがえたら Level 4から


Level 1 子供でもなんとなくわかる

ここはLevel 1です(全5レベル)
前提:なし。ここから読み始められます
想定読者:この言葉を今日はじめて見た人
このレベルのゴール:「お金をもらう使い方」には別の決まりがあると知る

遊びで使うのと、お金をもらうのは違う

AIで絵を描いて、友だちに見せる。これは、たいてい自由にできます。

でも、その絵をシールにして売る。これは、話が変わります。

お金を得るために使うことを商用利用といいます。
商用利用については、別の決まりが置かれていることが多いのです。

無料でも、売ってはいけないことがある

ここが一番大事なところです。

「無料で使える」と「売ってもいい」は、別のことです。
無料で使えるけれど、作ったものを売ってはいけない、というサービスがあります。

逆に、お金を払えば売ってもよくなるサービスもあります。

何が「商用」なのか

分かりにくいのは、どこからが商用かという線です。

  • 作品を売る:商用
  • お店の宣伝に使う:商用
  • 動画に広告が付いている:商用にあたることが多い
  • 学校の発表で使う:商用ではないことが多い
  • 友だちに見せる:商用ではない

迷ったら、「これでお金が動くか」を考えてみてください。

使う前に、決まりを読む

いちばん確実なのは、使う前に決まりを読むことです。

サービスの中に「利用規約」というページがあります。
そこに、作ったものをどう使ってよいかが書かれています。

長くて読みにくいですが、「商用」「商業」という言葉を探すと見つかります。

つまずきポイント

「AIが作ったんだから、誰のものでもない?」
そうではありません。
サービスの決まりによって、使ってよい範囲が決まっています。
また、できあがったものが誰かの作品に似ていた場合、別の問題も起きます。
→ 著作権とAI|5段階でわかる用語解説

理解度チェック

Q1.【オリジナル】次のうち、商用利用にあたるものはどれか。

  • ア AIで描いた絵を、友だちに見せる
  • イ AIで作った画像を、お店の宣伝に使う
  • ウ AIで作った文章を、自分の日記に書く
  • エ AIで作った絵を、自分の部屋に飾る

正解:イ

解説:
お金を得るために使うことを、商用利用といいます。
お店の宣伝は、お金が動くことにつながるので、商用にあたります。
ア、ウ、エは、お金が動かない使い方です。
→ 「何が「商用」なのか」に戻る

Q2.【オリジナル】「無料で使える」と「売ってもいい」の関係として、正しいものはどれか。

  • ア 売ってもいいサービスは、すべて無料である
  • イ 無料で使えても、作ったものを売ってはいけないサービスがある
  • ウ 無料かどうかで、売ってよいかが自動で決まる
  • エ 無料で使えるなら、必ず売ってもいい

正解:イ

解説:
ここがいちばん大事なところです。
「無料で使える」と「売ってもいい」は、別のことです。
お金を払えば売ってよくなる、というサービスもあります。
→ 「無料でも、売ってはいけないことがある」に戻る

Q3.【オリジナル】AIで作ったものを、どう使ってよいかが書かれている場所はどこか。

  • ア パソコンの取扱説明書
  • イ サービスの広告
  • ウ 友だちのSNS
  • エ サービスの利用規約

正解:エ

解説:
作ったものをどう使ってよいかは、サービスの利用規約に書かれています。
長くて読みにくいときは、「商用」「商業」という言葉を探すと見つかります。
→ 「使う前に、決まりを読む」に戻る

Q4.【オリジナル】動画を投稿して、その動画に広告が付いている。この使い方について、最も適切なものはどれか。

  • ア 広告が付いている動画には、AIは使えない
  • イ 広告が付いていても、商用にはあたらない
  • ウ 商用にあたることが多いので、決まりを確かめる
  • エ 動画なら、どんな使い方でも自由である

正解:ウ

解説:
動画に広告が付いていると、お金が動くので、商用にあたることが多くなります。
迷ったら、「これでお金が動くか」を考えてみてください。
アは言い過ぎです。使えるかどうかは、サービスの決まりで確かめます。
→ 「何が「商用」なのか」に戻る

Q5.【オリジナル】「AIが作ったものは、誰のものでもないから自由に使える」という考え方について、正しいものはどれか。

  • ア 正しくない。AIが作ったものは、すべてAIの会社のものになる
  • イ 正しい。ただし、絵だけは例外である
  • ウ 正しい。AIが作ったものには、どんな決まりもない
  • エ 正しくない。サービスの決まりで使ってよい範囲が決まっていて、誰かの作品に似ていれば別の問題も起きる

正解:エ

解説:
サービスの決まり(利用規約)によって、使ってよい範囲が決まっています。
また、できあがったものが誰かの作品に似ていた場合は、著作権の問題が起きることがあります。
アも言い過ぎです。多くのサービスは、作ったものを利用者が自由に使える形にしています。
→ 「つまずきポイント」に戻る

ここまで読めば言えるようになること

  • 商用利用の意味を説明できる
  • 無料と商用可が別だと知っている
  • 規約を確認する習慣がある

言えたら、Level 2へ進む。


Level 2 少し理解できる

ここはLevel 2です(全5レベル)
前提:Level 1の内容(お金が動く使い方には別の決まりがあること)
想定読者:言葉は知っているが、人には説明できない人
このレベルのゴール:規約で確認すべき項目を知り、自分の活動に当てはめられる

確認すべき5項目

規約を読むとき、次の5つを探すと必要な情報を得られます。

生成物の権利は誰のものか。
利用者に帰属すると書かれているか、事業者が保持すると書かれているか。

商用利用が認められるか。
プランによって異なることがあります。

表示の義務があるか。
AIを使った旨や、サービス名の表示を求められる場合があります。

禁止されている用途はあるか。
特定の分野や、特定の表現が禁じられていることがあります。

再配布や再販売の制限はあるか。
生成物をそのまま販売することが制限されている場合があります。

生成AIの商用利用を確かめる観点の図。規約で探す5項目は、生成物の権利は誰のものか、商用利用が認められるか、表示の義務があるか、禁止されている用途はあるか、再配布や再販売の制限はあるか。あわせて、契約の層(利用規約)、権利の層(著作権などの法的な権利)、取引先の層(納品先や販売先の要求)の3つは独立していて、一つを満たしても他が満たされるわけではない。
無料プランでは商用利用が不可、サービス名の表示が必要、生成物が公開される設定、という例がある。

プランによって変わる

同じサービスでも、無料プランと有料プランで扱いが異なることがあります。
典型的な違いは次の通りです。

  • 無料プランでは商用利用が不可、有料プランでは可
  • 無料プランでは生成物にサービス名の表示が必要
  • 無料プランでは生成物が公開される設定になっている

特に3つ目は見落とされがちです。
生成した画像が、そのサービスの公開ギャラリーに掲載される設定になっている場合があります。
非公開の企画に使う場合、この点は確認が必要です。

「作ったもの」以外の論点

規約とは別に、次の点も確認が必要です。

既存の作品に似ていないか。
規約上は商用利用が認められていても、生成物が既存の作品に似ていれば、別の問題になります。

実在する人物や商標が含まれていないか。
人物の肖像や、他社のロゴ、キャラクターが含まれる場合、規約とは別の権利問題が生じます。

投稿先の規約。
販売するプラットフォームや、投稿先のサービスが、AI生成物の扱いについて独自の規定を置いていることがあります。

投稿先の規約は、実際に販売する場面で確認が必要な点です。
生成したサービスの規約で商用可でも、販売先が受け付けない場合があります。

実務的な手順

副業や創作で使う場合、次の手順が現実的です。

  1. 使うサービスの規約で、5項目を確認する
  2. 販売や投稿をする先の規約も確認する
  3. 指示に実在する作家名やキャラクター名を含めない
  4. できあがったものを画像検索などで照合する
  5. 使用したサービス、指示文、日時を記録しておく

つまずきポイント

「規約が変わったら、前に作ったものはどうなる?」
サービスによって扱いが異なります。
変更前に生成したものについて経過措置を置く場合もあれば、明示されない場合もあります。
継続的に販売する制作物では、規約の変更にその都度対応が必要です。

理解度チェック

Q1.【オリジナル】生成AIの利用規約で確認すべき5項目に含まれないものはどれか。

  • ア 禁止されている用途はあるか
  • イ 商用利用が認められるか
  • ウ 生成物の権利は誰のものか
  • エ 画面の色を変えられるか

正解:エ

解説:
確認するのは、生成物の権利、商用利用の可否、表示の義務、禁止用途、再配布や再販売の制限の5つです。
エは、商用利用の判断には関係しません。
→ 「確認すべき5項目」に戻る

Q2.【オリジナル】生成したサービスの規約では商用利用が認められていた。それでも、販売するプラットフォームに出品を断られることがある。その理由として、最も適切なものはどれか。

  • ア 生成したサービスの規約は、販売先には一切関係ないから
  • イ 有料プランで作ったものは、出品できないから
  • ウ 販売先のプラットフォームが、AI生成物の扱いについて独自の規定を置いていることがあるから
  • エ 出品の時間帯が決まっているから

正解:ウ

解説:
販売先や投稿先のプラットフォームが、AI生成物について独自の規定を置いていることがあります。
生成したサービスで商用可でも、販売先が受け付けない場合があるので、販売先の規約も確認します。
アは言い過ぎです。生成したサービスの規約も、販売先の規約も、両方を確認します。
→ 「「作ったもの」以外の論点」に戻る

Q3.【IPA過去問】生成AIを用いた生成物の取扱いに関して,既存の著作物の著作権者から許諾を得ることが必要となる可能性のあるものだけを,全て挙げたものはどれか。

a 好みのアーティストの楽曲に似た音楽が得られるように生成AIを用いて楽曲を生成し,その楽曲をインターネット上にアップロードし,無料で公開した。
b 好みのアーティストの楽曲に似た音楽が得られるように生成AIを用いて楽曲を生成し,その楽曲を自分のPC上に保管し,個人で視聴した。
c 生成AIで音楽を生成したところ,偶然好みのアーティストの楽曲に似た音楽が生成できたので,自分のPC上に保管し,個人で視聴した。

  • ア a
  • イ a,b
  • ウ a,b,c
  • エ b,c

出典:令和8年度 ITパスポート試験 公開問題 問1

正解:ア

解説:
生成物が既存の作品の権利を侵害するかは、似ていること(類似性)と、既存の作品をもとにしたこと(依拠性)で判断されます。
aは、似せることを狙って生成し(依拠)、似たもの(類似)を誰でも聞ける場所に公開しているので、許諾が必要になる可能性があります。お金を取らない無料の公開でも、この点は変わりません。
bは、個人で聞くための私的な使用なので、許諾なしでできる範囲です。
cは、偶然似ただけで既存の作品をもとにしていないので、依拠性がありません。
規約で商用可かどうかとは別に、この「似ていないか」を確かめる必要があります。
→ 「「作ったもの」以外の論点」に戻る

Q4.【オリジナル】副業で生成AIの画像を販売する。指示(プロンプト)に含めないほうがよいものはどれか。

  • ア 色の好み
  • イ 実在する作家名や、既存のキャラクター名
  • ウ 画像の大きさ
  • エ 描いてほしい季節

正解:イ

解説:
実在する作家名やキャラクター名を指示に入れると、既存の作品に似たものができやすくなります。
規約で商用可でも、既存の作品に似ていれば、規約とは別の問題になります。
ア、ウ、エは、ふつうの指示の内容です。
→ 「実務的な手順」に戻る

Q5.【オリジナル】生成した画像を販売するときに、記録しておくとよいものとして、この記事が挙げたものはどれか。

  • ア その日の気温
  • イ 使用したサービス、指示文、日時
  • ウ 画像を見た人の人数
  • エ 生成にかかった電気代

正解:イ

解説:
どのサービスで、どんな指示で、いつ作ったかを残しておくと、規約の変更や、似ているという指摘を受けたときに説明できます。
ア、ウ、エは、権利や規約の確認に使えません。
→ 「実務的な手順」に戻る

ここまで読めば言えるようになること

  • 規約の確認5項目を挙げられる
  • プランによる違いを意識できる
  • 投稿先の規約も確認できる

言えたら、Level 3へ進む。


Level 3 もう少し詳しく

ここはLevel 3です(全5レベル)
前提:Level 2までの内容(規約の確認5項目、プランによる違い、投稿先の規約)
想定読者:人に説明はできるが、仕組みまでは怪しい人
このレベルのゴール:権利の所在と、リスクの構造を分けて説明できる

3つの層に分けて考える

商用利用の可否を、「契約」「権利」「取引先」の3つの層に分けて整理します。

契約の層は、サービスの利用規約です。
事業者と利用者の間の取り決めであり、これに反すると規約違反になります。

権利の層は、著作権などの法的な権利です。
規約とは独立しており、規約で商用可でも、生成物が既存の作品を侵害していれば別に問題になります。

取引先の層は、納品先や販売先の要求です。
契約上、AI生成物の使用を制限されている場合や、開示を求められる場合があります。

この3つは独立しています。
一つを満たしても、他が満たされるわけではありません。

生成物の権利の帰属

多くのサービスは、生成物に関する権利を利用者に帰属させる、あるいは利用者が自由に使える形にしています。
ただし、これは事業者が「自分は権利を主張しない」という意味であり、「利用者に著作権が発生する」という意味ではありません。

生成物に著作権が発生するかは、人の創作的な寄与の程度によります。
指示を与えただけの場合、著作権が発生しない可能性があります。
→ 著作権とAIとは

これは実務上、次の意味を持ちます。

  • 生成物をそのまま使う場合、他者が同じものを使うことを止められない可能性がある
  • 独占的な利用を前提とした事業設計では、この点の確認が要る
  • 権利が必要な制作物では、人による加工の工程を設ける

補償条項の読み方

一部の事業者は、生成物が第三者の権利を侵害した場合の補償を提供しています。
ただし、条件が付いているのが一般的です。

典型的な条件は次の通りです。

  • 指定されたプランや設定を使用していること
  • 提供されている安全機能を無効にしていないこと
  • 侵害を意図した指示をしていないこと
  • 侵害の通知を受けた際に速やかに連絡すること
  • 事業者が防御を主導することに同意すること

これらの条件を満たさない使い方をしていた場合、補償の対象外になります。
補償があることを理由に確認を省く運用は、条件を満たさなくなる危険があります。

表示の義務

AI生成物であることの表示については、複数の異なる要求があります。

  • サービスの規約による表示義務
  • 投稿先や販売先の規約による表示義務
  • 業界の慣行や、取引先との合意
  • 法令上の要求(国と用途によって異なる)

現時点で、日本において一律の表示義務が定められているわけではありません。
一方、EUのAI法では、一定の生成物や対話システムについて透明性に関する義務が定められており、対象となる場合は確認が要ります。
各国の規制がいまどうなっているかは、時点つきの記事にまとめています。
→ AI規制の現在地【2026年10月】日本のAI法とEU AI法、米国、中国、韓国の動き

つまずきポイント

「規約で商用可なら、安心して使える?」
規約は3つの層の一つにすぎません。
既存の作品との類似という権利の層、納品先の要求という取引先の層は、規約とは別に確認する必要があります。
「規約を確認した」で止めると、残り2つが抜けます。

理解度チェック

Q1.【オリジナル】納品先との契約で、AI生成物の使用が制限されていた。これは3つの層のうち、どれにあたるか。

  • ア 契約の層(サービスの利用規約)
  • イ どの層にもあたらない
  • ウ 取引先の層(納品先や販売先の要求)
  • エ 権利の層(著作権などの法的な権利)

正解:ウ

解説:
納品先や販売先の要求は、取引先の層です。
サービスの規約(契約の層)で商用可でも、取引先が制限していれば、その仕事では使えません。
3つは独立しているので、それぞれ別に確認します。
→ 「3つの層に分けて考える」に戻る

Q2.【オリジナル】規約に「生成物の権利は利用者に帰属する」と書かれていた。この記載の意味として、最も適切なものはどれか。

  • ア 事業者が、生成物の著作権を持ち続ける
  • イ 生成物には、必ず利用者の著作権が発生する
  • ウ 事業者が権利を主張しないという意味で、著作権が発生するかは別の問題である
  • エ 生成物は、誰でも自由に使ってよい

正解:ウ

解説:
この記載は、事業者が「自分は権利を主張しない」という意味です。
生成物に著作権が発生するかは、人の創作的な寄与の程度によります。
指示を与えただけの場合、著作権が発生しない可能性があります。
→ 「生成物の権利の帰属」に戻る

Q3.【IPA過去問】著作権法及び関連法令によれば,生成AIを利用して画像を生成する行為又はその生成物の利用が著作権侵害にあたるか否かに関して,適切な記述はどれか。

  • ア AIが既存の著作権で保護されている画像をデータセットとして学習している場合は,そのAIを利用して画像を生成すると,いかなる場合も著作権侵害になる。
  • イ AIを利用して生成した画像が著作権で保護された既存の画像と類似しており,それを公開した場合,著作権侵害となる可能性がある。
  • ウ AIを利用して生成した画像は,AIが自動的に創作したものであるため,いかなる状況でも著作権の対象外となり,著作権侵害の懸念は生じない。
  • エ AIを利用して生成した画像は,生成した本人の私的使用に限って,利用が認められており,商業利用を行った場合は,いかなる場合も著作権侵害となる。

出典:令和7年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問78

正解:イ

解説:
既存の画像に似た生成物を公開すると、著作権侵害になる可能性があります。これが3つの層のうちの「権利の層」です。
アは言い過ぎです。学習に使われたことだけで、生成物がすべて侵害になるわけではありません。
ウは誤りです。生成物が既存の作品に似ていれば、侵害の問題は生じえます。
エは誤りです。商業利用がいかなる場合も侵害になるわけではなく、規約と権利の両方で判断します。
「いかなる場合も」「いかなる状況でも」と言い切る選択肢は、この分野では誤りであることがほとんどです。
→ 「3つの層に分けて考える」に戻る

Q4.【オリジナル】侵害の補償を提供しているサービスで、補償の対象外になりやすい使い方はどれか。

  • ア 指定されたプランで使っていた
  • イ 侵害の通知を受けて、すぐに連絡した
  • ウ 提供されている安全機能を、無効にしていた
  • エ 侵害を意図した指示をしていなかった

正解:ウ

解説:
補償には条件が付いているのが一般的で、安全機能を無効にしていないことも典型的な条件です。
ア、イ、エは、条件を満たしている側の使い方です。
補償があることを理由に確認を省くと、条件を満たさなくなる危険があります。
→ 「補償条項の読み方」に戻る

Q5.【オリジナル】AI生成物であることの表示について、最も適切なものはどれか。

  • ア 表示はサービスが自動で行うので、利用者が考える必要はない
  • イ 表示の要求は、どの国でも同じである
  • ウ 日本では、すべての生成物に表示が法律で義務づけられている
  • エ 表示の要求は、サービスの規約、投稿先の規約、取引先、法令など、複数の出どころから来る

正解:エ

解説:
表示の要求には、複数の異なる出どころがあります。
日本では一律の表示義務は定められていませんが、規約や取引先から求められることがあります。
イは誤りです。法令上の要求は、国と用途によって異なります。
→ 「表示の義務」に戻る

ここまで読めば言えるようになること

  • 3つの層に分けて判断できる
  • 権利の帰属の記載を正確に読める
  • 補償条項の条件を確認できる
  • 表示義務の複数の出どころを挙げられる

仕事で判断する立場なら、Level 4へ進む。


Level 4 ビジネスで使う

ここはLevel 4です(全5レベル)
前提:Level 3までの内容(契約・権利・取引先の3つの層、補償条項の読み方)
想定読者:仕事で使うかどうかを判断したい人
このレベルのゴール:用途ごとの手続きを設計し、委託先まで含めて管理できる

用途を3つに仕分ける

すべての利用に同じ手続きを課すと、業務が止まります。
外部に出るかどうかと、権利が必要かどうかで仕分けます。

社内でのみ使うものは、手続きは軽くて済みます。
議事録の整形、社内資料の下書き、調査のたたき台。
外部に出ないため、権利の問題は生じにくくなります。

外部に出るが権利は不要なものは、確認の工程を設けます。
広告の素材、ウェブサイトの画像、配布資料。
既存作品との類似の確認と、記録の保存が要ります。

権利が必要なものは、設計から変えます。
ロゴ、キャラクター、商品デザイン、独占的に使う素材。
AI生成物に著作権が発生しない可能性があるため、人の創作的関与を確保し、その過程を記録します。

契約するプランの設計

商用利用を前提とするなら、次を満たすプランを契約します。

  • 商用利用が明示的に認められている
  • 入力データを学習に使わないことが明示されている
  • 生成物の権利について明確な記載がある
  • 補償が提供されている場合、その条件が自社の運用で満たせる

無料プランや個人プランを業務で使うと、これらのいずれかを満たさないことが多くなります。
「試用のつもりが本番で使われていた」という状態を防ぐため、業務で使えるサービスの一覧を明示してください。

規程に書くこと

使ってよいサービスとプランの一覧を置きます。
一覧にないものは申請制にします。

指示に含めてはいけないものを列挙します。
実在する作家名、既存キャラクター名、他社のブランド名、「〇〇風」という指示。

確認の工程を定めます。
外部に出す素材については、既存作品との照合を必須にします。

記録の対象を定めます。
サービス、モデル、指示文、生成日時、選択と修正の過程。

表示の方針を定めます。
どの場面でAI利用を表示するかを決めます。

委託先の管理

制作を外部に委託する場合、次を契約に含めます。

  • 生成AIの使用の可否と、使用する場合の事前の申告
  • 使用した場合の、サービス名と記録の提出
  • 第三者の権利を侵害しないことの保証
  • 納品物の権利の帰属に関する取り決め
  • 侵害が判明した場合の責任分担

権利の帰属を前提とする契約では、生成物に権利が発生しない場合に前提が崩れます。
納品物にAI生成物が含まれる場合の扱いを、契約段階で整理してください。

委託先が生成AIを使っているかは、明示的に確認しないと分かりません。

規約変更への備え

サービスの規約は変更されます。
継続的に使う制作物では、次を運用に組み込みます。

  • 規約変更の通知を受け取る担当を決める
  • 変更時に、既存の制作物への影響を確認する手順を定める
  • 年に一度、契約しているサービスの規約を確認する

過去に生成したものについて、規約変更後の扱いが明示されない場合があります。
継続的に販売または掲載する制作物では、この点の確認が要ります。

つまずきポイント

「担当者が個人アカウントで作った素材が、そのまま公開されていた」
これが最も多い事故の形です。
防ぐには、業務で使えるサービスの一覧を明示し、それ以外での制作物を受け付けない工程を置きます。
制作物の受け入れ時に、使用したサービスの申告を必須にするのが実務的です。

理解度チェック

Q1.【オリジナル】会社のロゴを生成AIで作ろうとしている。用途の3区分のうち、どれにあたるか。

  • ア 権利が必要なもの
  • イ 社内でのみ使うもの
  • ウ 外部に出るが、権利は不要なもの
  • エ どれにもあたらない

正解:ア

解説:
ロゴ、キャラクター、商品デザインのように独占して使うものは、権利が必要なものです。
AI生成物に著作権が発生しない可能性があるため、人の創作的な関与を確保し、その過程を記録する設計にします。
→ 「用途を3つに仕分ける」に戻る

Q2.【オリジナル】商用利用を前提に契約するプランが満たすべき条件として、この記事が挙げていないものはどれか。

  • ア 生成物の権利について、明確な記載がある
  • イ 月額料金が、いちばん安い
  • ウ 入力データを学習に使わないことが明示されている
  • エ 商用利用が明示的に認められている

正解:イ

解説:
商用利用の明示、入力を学習に使わないことの明示、権利の記載の明確さ、そして補償の条件を自社の運用で満たせることが条件です。
料金の安さは、条件ではありません。
→ 「契約するプランの設計」に戻る

Q3.【オリジナル】社内規程の「指示に含めてはいけないもの」に入れる項目として、最も適切なものはどれか。

  • ア 実在する作家名、既存のキャラクター名、他社のブランド名、「〇〇風」という指示
  • イ 出力の形式(箇条書きなど)の指定
  • ウ 文章の長さの指定
  • エ 対象読者の指定

正解:ア

解説:
アは、既存の作品や他社の権利に近づけてしまう指示です。
イ、ウ、エは、ふつうの指示の書き方です。
→ 「規程に書くこと」に戻る

Q4.【オリジナル】制作を外部に委託するとき、契約に含める項目として、この記事が挙げていないものはどれか。

  • ア 委託先の社員の出身地
  • イ 侵害が判明した場合の責任分担
  • ウ 第三者の権利を侵害しないことの保証
  • エ 生成AIの使用の可否と、使用する場合の事前の申告

正解:ア

解説:
使用の申告、記録の提出、第三者の権利を侵害しない保証、権利の帰属、侵害時の責任分担を契約に含めます。
委託先が生成AIを使っているかは、明示的に確認しないと分かりません。
→ 「委託先の管理」に戻る

Q5.【オリジナル】継続して販売している制作物について、サービスの規約変更に備える運用として、最も適切なものはどれか。

  • ア 規約変更の通知を受け取る担当を決め、変更時に既存の制作物への影響を確認する
  • イ 一度確認した規約は変わらないので、二度と読まない
  • ウ 規約の変更は、販売先が知らせてくれるので何もしない
  • エ 規約が変わったら、過去の制作物はすべて削除する

正解:ア

解説:
規約は変更されるため、通知を受け取る担当と、既存の制作物への影響を確認する手順を決めておきます。
年に一度、契約しているサービスの規約を確認する運用も有効です。
エは、影響を確認しないまま手放すことになります。
→ 「規約変更への備え」に戻る

ここまで読めば言えるようになること

  • 用途を3区分して手続きを変えられる
  • 契約するプランの条件を定義できる
  • 規程に書くべき5項目を挙げられる
  • 委託先の管理項目を設計できる

実装に踏み込むなら、Level 5へ進む。


Level 5 専門的な話

ここはLevel 5です(全5レベル)
前提:Level 4までの内容
想定読者:実装する人、技術記事を原典で読みたい人
このレベルのゴール:規約の条項を精査し、契約とリスク移転を設計できる

規約の精査項目

サービスの規約を精査する際、次の条項を確認します。

出力に関する権利の条項では、事業者が権利を保持しないことの記載と、利用者への譲渡またはライセンスの形式を確認します。
「権利を主張しない」と「権利を譲渡する」は、法的に異なります。

利用範囲の条項では、商用利用の可否に加え、再配布、再販売、二次的な利用の可否を確認します。

出力の一意性に関する記載を確認します。
同一または類似の出力が他の利用者にも提供されうる旨が記載されていることがあります。
独占的な利用を前提とする場合、この記載は重大です。

免責の条項では、生成物の適法性や正確性について事業者が保証しない旨の記載を確認します。
多くのサービスで、保証しない旨が明示されています。

補償の条項では、対象範囲、条件、上限額、手続きを確認します。
上限額が設定されている場合、想定される損害との比較が要ります。

準拠法と紛争解決の条項を確認します。
海外の事業者の場合、日本法が準拠法でないことが一般的です。

変更の条項では、一方的な変更の可否と、変更時の通知の方法を確認します。

出力の非一意性の含意

生成物が一意でないことは、事業上の含意を持ちます。

同一の指示から類似の出力が他者にも提供されうる場合、次の点が問題になります。

  • 商標としての識別力が確保できるか
  • 独占的な使用を前提とした契約が履行できるか
  • 競合が類似の素材を使用した場合に対応できるか

これらが重要な用途では、生成物をそのまま使わず、人による加工を経る設計にします。
加工の程度と、それによって生じる権利の範囲は、事案ごとの判断になります。

委託契約の設計

制作委託において、次の条項を整備します。

使用の申告義務を課します。
生成AIの使用の有無と、使用した場合のサービス名、モデル、指示文の提出を求めます。

権利の帰属と表明保証を整理します。
納品物に著作権が発生しない部分がありうることを前提に、権利の帰属条項とは別に、第三者の権利を侵害しないことの表明保証を置きます。

責任の分担を定めます。
侵害が判明した場合の対応、費用の負担、契約の解除に関する取り決めです。

再委託の管理を定めます。
再委託先が生成AIを使用する場合の取り扱いを、承継させます。

なお、権利の帰属を求める条項だけでは、権利が発生しない場合に実効性がありません。
制作物の独占的な使用が必要な場合、契約による使用制限(委託先が同一または類似の素材を他に提供しないこと)を併せて置く設計が考えられます。

表示義務の整理

生成物の表示に関する要求は、複数の出どころがあります。

  • サービスの規約
  • 投稿先や販売先のプラットフォームの規約
  • 取引先との契約
  • 法令(国と用途によって異なる)

EUのAI法では、対話システムや、特定の生成物について透明性に関する義務が定められています。
EU域外の事業者でも、EU域内に提供する場合は対象となりうるため、確認が必要です。
義務ごとの適用の開始時期は、法改正の動きによって変わることがあります。
現在の適用状況は、時点つきの記事で確認してください。
→ AI規制の現在地【2026年10月】日本のAI法とEU AI法、米国、中国、韓国の動き

日本では、一律の表示義務は定められていませんが、業界や取引先の要求として求められる場面があります。
自社の方針を定め、開示できる状態にしておくことが実務的です。

記録の設計

事後の説明可能性のため、次を記録の対象とします。

  • 使用したサービス、プラン、モデル、版
  • 契約日と、その時点の規約の版(保存)
  • 指示文の全文と、入力として与えた資料
  • 生成された候補と、選択の過程
  • 生成後の修正の内容と実施者
  • 確認の実施者と日時

規約の版を保存しておくことが重要です。
規約は変更されるため、生成時点の条件を後から確認できる状態にしておく必要があります。

理解度チェック

Q1.【オリジナル】規約の「出力について権利を主張しない」と「出力の権利を譲渡する」の関係として、最も適切なものはどれか。

  • ア 法的に異なり、「主張しない」は利用者に権利が発生することを意味しない
  • イ まったく同じ意味である
  • ウ 「主張しない」のほうが、利用者に強い権利を与える
  • エ どちらも、生成物に必ず著作権が発生することを前提にしている

正解:ア

解説:
「主張しない」は、事業者が権利を行使しないという意味です。
利用者に権利が発生するかどうかは、別に判断されます。
エは誤りです。生成物に著作権が発生しない可能性があります。
→ 「規約の精査項目」に戻る

Q2.【オリジナル】規約に「同一または類似の出力が、他の利用者にも提供されうる」とあった。この記載がとくに重大になる用途はどれか。

  • ア 調査のたたき台
  • イ 商標として使うロゴ
  • ウ 社内資料の下書き
  • エ 社内会議の議事録の整形

正解:イ

解説:
出力が一意でないと、商標としての識別力や、独占的な使用を前提とした契約が成り立たないおそれがあります。
こうした用途では、生成物をそのまま使わず、人による加工を経る設計にします。
ア、ウ、エは、社内でのみ使うもので、影響は小さくなります。
→ 「出力の非一意性の含意」に戻る

Q3.【オリジナル】制作委託の契約で、「権利の帰属」を求める条項だけでは足りない理由として、最も適切なものはどれか。

  • ア 帰属条項は、法律で禁止されているから
  • イ 帰属条項を入れると、委託料が必ず上がるから
  • ウ 帰属条項は、海外の事業者にしか使えないから
  • エ 生成物に権利が発生しない場合、帰属条項に実効性がないから

正解:エ

解説:
権利が発生しないものは、帰属させることもできません。
独占的な使用が必要なら、委託先が同一または類似の素材を他に提供しないという使用制限の条項を、あわせて置く設計が考えられます。
→ 「委託契約の設計」に戻る

Q4.【オリジナル】生成時点の規約の版を保存しておく理由として、最も適切なものはどれか。

  • ア 規約の版を保存すると、生成物の品質が上がるため
  • イ 保存しておけば、どんな使い方でも補償されるため
  • ウ 規約は二度と変わらないので、記念に残すため
  • エ 規約は変更されるので、生成した時点の条件を後から確かめられるようにするため

正解:エ

解説:
規約は変更されるため、生成した時点にどんな条件だったかを、後から説明できる状態にしておきます。
記録には、サービス、プラン、モデル、指示文、選択と修正の過程、確認の実施者もあわせて残します。
→ 「記録の設計」に戻る

Q5.【オリジナル】海外の事業者の生成AIサービスの規約で、確認すべき点として、最も適切なものはどれか。

  • ア 規約の文字の大きさ
  • イ 準拠法と紛争解決の条項。日本法が準拠法でないことが一般的である
  • ウ 規約のページの背景色
  • エ 事業者の創業年

正解:イ

解説:
海外の事業者の場合、日本法が準拠法でないことが一般的です。
紛争になったとき、どの国の法で、どこで争うかが変わります。
あわせて、一方的な変更の可否と通知の方法を定めた変更の条項も確認します。
→ 「規約の精査項目」に戻る

ここまで読めば言えるようになること

  • 規約の条項を体系的に精査できる
  • 出力の非一意性の含意を説明できる
  • 委託契約の条項を設計できる
  • 記録の項目に規約の版を含められる

自分の使っているサービスの規約を、確かめたこと

私は前職のシステムエンジニアでの経験を生かして、AI分野の記事を書く仕事をしています。
それらの経験をもとに、本サイトを個人で立ち上げました。

2026年10月8日に、ふだん使っている生成AIサービス3つの利用規約を、Level 2の5項目で読み比べました。
5項目すべてを見つけられたのは2つで、1つは、規約の本文ではなく別のページに書かれていました。
いちばん迷ったのは無料の範囲で作ったものを、このサイトの記事に載せてよいかで、その生成AIサービスでの情報は参考程度に留めています。


まとめ

生成AIの商用利用は、無料であることと商用可であることが別だという一点から始まります。

Level 1では、お金が動く使い方には別の決まりがあること。
Level 2では、規約で確認すべき5項目。
Level 3では、契約、権利、取引先という3つの層。
Level 4では、用途を仕分けて手続きを変える対象。
Level 5では、条項を精査して契約を設計する実務。

事故の多くは、「規約を確認した」で止まったことから起きます。
既存作品との類似という権利の層と、納品先の要求という取引先の層は、規約とは別に確認が要ります。

次に読む記事

→ 著作権とAI|5段階でわかる用語解説
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→ 今さら聞けないAI用語30選


よくある質問(FAQ)

Q. 無料の生成AIで作ったものを、仕事に使ってよいですか?
A. サービスの規約によります。無料であることと商用利用が認められることは別です。規約で商用利用の可否を確認し、プランによって扱いが異なる点にも注意が必要です。

Q. 規約で商用利用が認められていれば安心ですか?
A. 規約は判断の一つの層にすぎません。生成物が既存の作品に似ていないかという権利の層と、納品先や販売先の要求という取引先の層を、別に確認する必要があります。

Q. 「生成物の権利は利用者に帰属」と書かれていれば、著作権がありますか?
A. 必ずしもそうではありません。この記載は事業者が権利を主張しないという意味であり、著作権が発生するかは人の創作的な寄与の程度によります。

Q. 補償を提供しているサービスなら確認は不要ですか?
A. 不要にはなりません。補償には条件が付いているのが一般的で、指定された設定の使用や、侵害を意図した指示をしていないことなどが求められます。条件を満たさない使い方は対象外になります。

Q. 委託先が生成AIを使っているかは、どう確認しますか?
A. 契約に使用の申告義務を明記し、使用した場合のサービス名と記録の提出を求めます。明示的に確認しないと分からないため、制作物の受け入れ時の工程として組み込むのが実務的です。

Q. 生成AIで既存の作品に似たものができてしまいました。自分で楽しむだけでも問題になりますか?
A. 個人で楽しむための私的な使用であれば、許諾なしでできる範囲とされています。問題になりうるのは、似たものを公開したり販売したりする場合です。既存の作品をもとに似せようとしたか(依拠性)と、似ているか(類似性)で判断されます。

参考

  • 文化庁「AIと著作権について」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/aiandcopyright.html
    (文化審議会著作権分科会法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」などの資料の掲載ページ。生成・利用の段階で類似性と依拠性によって判断されるという整理)
  • 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日) https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
    (本編・別添・チェックリストの掲載ページ。生成物の利用に際し人間の判断を介在させる等の対策、知的財産権の侵害への留意)
  • 本記事の体験の節は、筆者が自分で確かめた記録です(実施日は本文に記載)

用語の全体像はこちらで確認できます。
→ 今さら聞けないAI用語30選|初心者でもニュースが読めるようになる意味と読み方

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