なりすまし詐欺広告は、誰が止めるのか|7府省庁が求めた「生成AIで作った広告である旨」の表示

スマホ画面に「ニセ広告」と表示されている

有名人が投資を勧めてくる広告を、SNSで見たことがある人は多いはずです。
本人は関係なく、顔と声だけがディープフェイクで作られています。
通報しても、少し経つとまた出てくる。なぜ消えないのか、と思ったことがあるかもしれません。

2026年8月7日、警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省、経済産業省の7府省庁が合同で、SNS大手5社に文書で要請を出しました。
相手はGoogle LLC、LINEヤフー株式会社、Meta Platforms, Inc.、TikTok Japan、X Corp.です。

求められたのは3つ。広告主の本人確認、削除要請への対応の徹底、そして広告の透明性向上です。
そのうち透明性の項目には、次の一文が入っています。

主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨

生成AIで作った広告であることを、見る人が確認できるようにする。
この記事は、そこを中心に、広告が流れる仕組みと責任の割り当てを整理します。

この記事でわかること

先に結論をまとめます。知りたい項目から読んでください。

知りたいこと結論詳しくは
何が要請されたか本人確認、透明性、削除対応の3つ要請の中身
期限はあるのかある。報告期限つきの要請要請の中身
10月16日のあとは報告の中身は公表されていない。令和9年春に政府が実施状況を確かめ、必要なら法整備も検討するこのあと
なぜ広告は消えないのか止められる場所が4か所に分かれている4者の仕組み
生成AIの表示とは何かAIで作った広告だと分かるようにするAIの表示
被害はどれくらいかSNS型投資詐欺だけで年1,288.0億円。最初の接触はバナー等の広告が最多被害の規模
自分で確かめてみると1週間で約50件の広告のうち、投資・副業が10件。通報した広告の後に、別の広告主名で同じ形式の広告が出た自分の記録
見分ける方法は広告表示の3か所を見る見分け方
サイトに広告を載せる側は自分のサイトに出る広告を、自分では選べない載せる側

2026年8月7日の要請は、何を求めたのか

「お願い」ではありますが、報告の期限が切られています。

要請の本文には、これが行政手続法上の「行政指導」にあたり、「処分」ではないことも明記されています。

要請の名称は「SNS等におけるなりすまし詐欺広告に関する対策の強化について(要請)」、日付は令和8年8月7日です。
総務省の報道資料は、対象をこう説明しています。

ディープフェイクを用いて著名人の肖像や音声を無断で利用したなりすまし広告を含む詐欺広告

そして、看過できない理由として2つ挙げています。

広告を閲覧した消費者・利用者に財産上の被害をもたらすおそれがあるのみならず、なりすまされた者の社会的信頼を著しく損なうおそれもある

被害者が2種類いるという整理です。お金を失う人と、名前を使われた人。
後者は、お金の被害が出ていなくても損害を受けています。

要請された3項目を、原文から並べます。

1. 広告主への本人確認

電子的な認証手段の活用を含む広告主への本人確認を確実に実施すること

本人確認の手段の例として、個人ならマイナンバーカード、法人なら商業登記電子証明書が挙げられています。
目的は「広告主の特定と追跡を可能とすること」と書かれています。

報告の期限も書かれています。

  • 令和8年10月16日までに、具体的な実施内容(本人確認を行う場合とその手段を含む)を文書でデジタル庁に報告
  • 令和9年3月16日までに、令和8年10月1日〜令和9年2月28日の実施結果(本人確認の手段ごと・国内外別の実施件数と割合、本人確認の不備で掲載を断った件数と割合等)を報告

「やってください」だけでなく、何件やったかを数えて出してくださいという形になっています。

2. 広告の透明性向上

掲載される広告において、1①で確認を行った広告主に関する情報(広告主の名称、所在地及び身元確認の有無等)や広告の情報(広告である旨や主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨、広告表示理由等)を確認することができるようにするなど、広告の透明性向上に係る措置を講ずること

こちらも、実施内容を令和8年10月16日までに報告することが求められています。
さらに令和9年3月16日までに、広告の上に実際に表示した情報の内容と、内容ごとの広告の件数・割合を報告することになっています。

3. 削除要請への対応の徹底

刑法(略)や金融商品取引法(略)等の各種法令等に違反するおそれがあるなりすまし詐欺広告について、インターネット・ホットラインセンター等の既存の窓口等や法令所管省庁から削除要請を受けた際には遅滞なく判断を行い、迅速かつ適切に削除等の対応を行うこと

あわせて、令和8年10月16日までに、自社の広告の審査基準になりすまし詐欺広告をどう書いているかを報告することが求められています。
令和9年3月16日までには、削除した件数を理由と契機ごとに数えて報告します。契機には、窓口や省庁からの削除要請のほか、自主的な削除と、一般の利用者からの通報も並んでいます。
窓口や省庁からの要請については、削除した割合、平均の対応時間、削除しなかった件数の理由まで報告の対象です。

削除の根拠も、要請の直前に整えられました。
著名人の名前を無断で使って虚偽の投資実績を見せる広告は、刑法第161条第1項(偽造私電磁的記録文書等行使の罪)等に違反し得ると、要請の注記に書かれています。
その旨は、インターネット・ホットラインセンターの運用ガイドライン(令和8年8月7日)と、総務省の情報流通プラットフォーム対処法第26条に関するガイドライン(令和8年8月6日)の改定で、新たに違法情報として明記されました。

なお、この報道資料には令和8年9月7日付で「本文の記載を一部修正しました」という追記があり、正誤表が公開されています。
修正されたのは要請先の表記で、「TikTok Pte. Ltd.」が「TikTok Japan」に改められました。本記事は修正後の表記に合わせています。

7府省庁がSNSなどの5社に出したなりすまし詐欺広告の対策要請の図。要請は、広告主への本人確認、広告の透明性向上(広告主の名称・所在地・身元確認の有無、主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨などを確認できるようにする)、削除要請への対応の徹底の3つ。日程は、令和8年8月7日に要請、9月7日に報道資料の正誤表、10月1日から実施結果の集計期間、10月16日までに実施内容を報告、令和9年3月16日までに実施結果を報告。
10月16日に1つ目の報告期限を迎えました。各社の数字が出そろうのは、令和9年3月16日の報告です。

10月16日のあとは何が続くのか

1つ目の報告期限は過ぎましたが、報告の中身はまだ見えていません。

10月16日は、5社が本人確認・表示・削除の実施内容を、文書でデジタル庁に報告する期限でした。
10月16日の時点で、総務省の報道資料のページに載っている追記は9月7日の正誤表が最後で、報告を受け取ったことや、その中身についての記載はありません。
報告がどこまで公表されるかも、要請の文書には書かれていません。

政府側は春に結果を確かめる

要請を出した日に、内閣官房に「なりすまし広告詐欺等対策関係府省庁会議」が置かれました。
会議の資料に載っているスケジュールは次のとおりです。

時期何をするか
令和8年8月〜令和9年春実務者会合で、要請の実施状況をフォローアップし、対応状況を踏まえて更なる対応策を検討する
令和9年春頃第2回の会議で、フォローアップの結果を確認し、今後の取組方針を決める

実務者会合の第1回は、9月2日に開かれています。
5社が実施結果を報告する期限(令和9年3月16日)と、第2回の会議の時期(令和9年春頃)は、ほぼ重なっています。
数えて出された結果をもとに、次の手を決めるという順番です。

「お願い」の先に法律も置かれている

今回の要請は、法律による命令ではなく行政指導です。
ただ、政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和8年度)には、こう書かれています。

今後の対策強化等を踏まえた消費者・利用者の被害動向等を勘案し、必要に応じ法整備を含む更なる実効的な対策を検討する。

要請で被害が減らなければ、法律で義務にすることも検討の対象になる、ということです。

同じ計画には、広告主の本人確認の手段を増やす話も入っています。
法人向けの共通の認証の仕組み「GビズID」は、いまは行政サービスにしか使えません。
これを広告の出稿のような民間のサービスでも使えるかを、令和8年度中に検討して結論を出すとされています。
要請が法人の確認手段の例に挙げているのは商業登記電子証明書ですが、使える手段が増えれば、法人の広告主を確かめる手間は下がります。

現時点で見る側にできること

表示の形を決めるのは各社です。要請の文言も「確認することができるようにするなど」で、どこに何を出すかまでは指定していません。
だから、変わったかどうかは、自分の画面で確かめるのがいちばん確実です。
広告の「この広告について」などのメニューを開いて、広告主の名前と所在地、身元確認の有無、生成AIで作った旨が出ているかを見てください。

なぜ消えないのか:止められる場所が4か所に分かれている

「誰が止めるのか」が、そもそも一人に決まっていません。

ネット広告が表示されるまでには、少なくとも4者が関わります。

立場やっていること止められること
広告主お金を出して広告を出す出さない
プラットフォーム広告を受け付け、審査し、配信する受け付けない、消す
媒体(サイト・アプリ)自分の画面に広告枠を置く枠を置かない
見る人表示された広告を見る通報する

この4者のうち、広告の中身を選べるのは上の2者だけです。

3番目の媒体は、自分のサイトに広告枠を置きますが、そこに何が出るかは自分では決められません。
広告の配信は自動で行われるので、サイトの運営者が「この広告は出さない」と個別に選ぶ仕組みにはなっていないのが普通です。
自分のサイトに出た広告を、自分が初めて見るということが起こります。

4番目の見る人は、通報はできますが、消せるわけではありません。

だから今回の要請が、プラットフォーム事業者5社に向けられたのは理にかなっています。
4者のうち、規模をもって止められるのは2番目だけだからです。

それでも消えにくい理由が、もう2つあります。

1つ目は、作るコストが下がったこと。
かつて、有名人が話す動画を作るには手間がかかりました。いまは、公開されている映像と音声から作れます。
消される速さより、作られる速さが上回ると、数は減りません。

2つ目は、広告主が入れ替わること。
ある広告主のアカウントが止められても、別の名前で入り直せば、また出せます。
今回の要請の1項目目が広告主の本人確認になっているのは、ここに手を入れるためです。
要請の本文も、本人確認の目的を「広告主の特定と追跡を可能とすることで、なりすまし詐欺広告の流通を抑止する」と書いています。
中身を見て消す方法は、いたちごっこになります。出す人の側で止めるほうが、回数が減ります。

なりすまし詐欺広告に関わる4者と、それぞれが止められることを並べた図。広告主は出さないことができ、本人確認の要請はここに手を入れる。プラットフォームは受け付けない・消すことができ、要請先の5社に当たる。媒体(サイト・アプリ)は枠を置かないことはできるが、何が出るかは選べない。見る人は通報できるが、消すことはできない。消えにくい理由は、作るコストが下がったことと、広告主が別の名前で入り直せること。
広告の中身を選べるのは左の2者だけで、規模をもって止められるのはプラットフォームです。

「生成AIで作った広告である旨」という表示

この記事でいちばん注目したいのは、この一行です。

要請は、広告に次の情報を確認できるようにすることを求めています。

  • 広告主の名称
  • 広告主の所在地
  • 身元確認の有無
  • 広告である旨
  • 主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨
  • 広告表示理由(なぜその広告が自分に表示されたか)

このうち、太字の2つに注目してください。

「身元確認の有無」は、確認されていないことも、表示の対象になり得るということです。
すべての広告主を確認するのは難しいので、確認したかどうかを見る人に見せる。現実的な設計だと思います。

そして「主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨」。
AIで作ったこと自体を禁止するのではなく、作ったと分かるようにするという方向です。

この考え方は、同じ2026年に出ている他の指針とも一致しています。
総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」第1.2版(令和8年3月31日公表)には、次の記述があります。

生成AIによって、内容が真実・公平であるかのように装った情報を誰でも作ることができるようになり、AIが生成した偽情報・誤情報・偏向情報が社会を不安定化・混乱させるリスクが高まっていることを認識した上で、必要な対策を講じる

ただし、表示には限界もあります。

  • 「主に」という言葉があるので、どこまでAIで作ったら表示するのかの線は、事業者の判断に委ねられます
  • 表示されるのは、その仕組みに乗っている広告だけです。仕組みの外から出された広告には付きません
  • 表示があっても、見る人が見なければ意味がありません

だから、表示は「これがあれば安全」という印ではありません。
むしろ逆で、「表示がないのに作り物っぽい広告」を見分ける手がかりが増える、と考えたほうが実用的です。

技術そのものの解説は、こちらにあります。
→ ディープフェイクの見分け方|本物か確かめる5つの手順を、5段階でわかる用語解説
 どうやって作られ、どこに不自然さが残るのかを書いています。

被害の規模を、数字で押さえる

SNS型投資詐欺だけで、年に1,288.0億円です。

警察庁が2026年6月5日に公表した令和7年の確定値です。

区分認知件数被害額
SNS型投資詐欺9,523件1,288.0億円
SNS型ロマンス詐欺5,645件546.4億円
特殊詐欺27,832件約1,423.1億円

SNS型投資詐欺の被害額が、特殊詐欺全体に近い水準になっています。
オレオレ詐欺などを含む特殊詐欺の総額が約1,423.1億円、SNS型投資詐欺だけで1,288.0億円です。

なりすまし詐欺広告のすべてが投資詐欺につながるわけではありませんし、
SNS型投資詐欺のすべてがなりすまし広告から始まるわけでもありません。
ただ、同じ警察庁の資料では、SNS型投資詐欺で最初に接触した手段はバナー等の広告が3,785件で最も多く、ダイレクトメッセージ(3,549件)と合わせて約8割を占めています。
広告が入口になっている被害の規模を考える材料にはなります。

要請の本文も、この資料をもとに、広告が入口になったサービスの割合を挙げています。
YouTube 27.1%、Instagram 16.3%、TikTok 10.4%、Facebook 6.5%、LINE 4.8%、X 2.1%です。

1件あたりで見ると、SNS型投資詐欺は1,288.0億円 ÷ 9,523件で、およそ1,352万円。
特殊詐欺の1件あたり(約1,423.1億円 ÷ 27,832件でおよそ511万円)の2.6倍です。
1人あたりの被害が大きいという性質があります。

自分のタイムラインを記録してみた

私は元システムエンジニアで、いまはAI分野の記事を書く仕事をしています。
要請が求める「実施結果」の集計は令和8年10月1日から始まります。その直前の1週間(2026年9月24日〜30日)、XとInstagramに出てきた広告を数えました。

数えたもの件数
表示された広告約50件(おおよそ)
有名人の顔か名前が使われていた5件
投資・副業の内容だった10件
同じ広告主が再び出てきた回数3回

このうち10件を通報しました。
広告の右上のメニューから3回の操作で通報でき、理由の選択肢に「詐欺またはミスリード」がありました。
3日後には、通報した広告は自分の画面に出てこなくなっていました。

ただし、同じ形式の広告が、別の広告主名で出てきました。
広告は人によって出し分けられるので、出てこなくなったことが削除されたためなのかは、利用者の側からは確かめられません。
確かめられるのは、別の名前で入り直した広告がまた届いた、ということのほうです。

本文に書いた「中身を見て消す方法は、いたちごっこになる」という点は、自分の画面でも同じでした。
要請の削除件数の報告には、契機の1つとして「一般利用者からの通報」が入っています。通報は、消すための手段であると同時に、数えられる記録にもなります。

追記として10月16日までの記録も残しました。

2026年10月14日、XとInstagramで、9月と同じように広告を10件開き、「この広告について」のメニューを見ました。
広告主の名前は出ていましたが、所在地、身元確認の有無、生成AIで作った旨は、どの広告にも出ていませんでした。
9月の記録と比べて、メニューの項目は変わっていませんでした。
広告は人によって出し分けられるので、ほかの人の画面でも同じかどうかは、自分の側からは確かめられません。

見分けるなら広告表示の3か所を見る

動画の出来ではなく、広告としての情報を見てください。

顔や声の不自然さで見分ける方法は、年々あてにならなくなっています。
代わりに、広告には必ず付いている情報を見ます。

1. 広告主の名前

広告には出稿者の名前が表示されます。
有名人の名前ではなく、広告主の名前を見てください。
聞いたことのない会社名、意味の取れないカタカナ、個人名のようなもの。ここが最初の判断の手がかりになります。

今回の要請で「広告主の名称、所在地及び身元確認の有無等」を確認できるようにすることが求められたのは、ここを見やすくするためです。

2. リンク先のドメイン

押す前に、リンク先のドメインを確認します。パソコンならリンクにカーソルを重ねると表示されることがあります。
金融機関や証券会社を名乗っているのに、まったく関係のないドメインなら、そこで終わりです。

3. 連絡の経路

広告から先に進むと、たいていメッセージアプリのグループや個人チャットに誘導されます。
金融庁は、こうしたグループには「サクラ」がいて、指南に従えば利益が上がるかのような投稿が流れる手口を挙げ、証券会社が個人名義の銀行口座を振込先に指定することはありませんと注意を呼びかけています。
相手が登録を受けた業者かどうかは、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」や検索で確かめられます。
経路の不自然さは、内容の不自然さより確実な判断材料です。

そのうえで、押す前にスクリーンショットを撮ってください。
広告は出し分けられるので、後から同じものを探しても見つかりません。通報するときにも役立ちます。

通報先

  • 広告が出ているSNS内の通報機能(いちばん早い)
  • インターネット・ホットラインセンター(要請の本文にも出てくる窓口です)
  • 投資の勧誘を受けた場合は、金融庁の「SNS上の投資詐欺が疑われる広告等に関する情報受付窓口」(情報の受付のみで、個別の相談には答えない窓口です)
  • お金の被害が出た、または出そうな場合は警察相談専用電話「#9110」
  • 契約や取引でのトラブルは消費者ホットライン「188」

家族が押してしまった、という相談を受けることもあります。
責めないでください。作りが巧妙になったという前提で作られている広告です。

広告を載せる側から見ると、どう見えるか

自分のサイトに出る広告を、自分で選べないという問題があります。

ブログやサイトを運営して広告を載せている人は、4者の3番目にいます。
枠は自分で置きますが、そこに何が表示されるかは配信側が決めます。
つまり、自分の読者に対して、自分が見ていない広告が出ている状態です。

できることは、多くありません。それでも3つあります。

  1. 広告のカテゴリをブロックする設定があるなら、投資・ギャンブル系を外しておく
  2. 自分のサイトを、広告が表示された状態で自分で見る。管理画面ではなく、読者と同じ見え方で
  3. 読者から「変な広告が出ている」と言われたら、配信元に報告する経路を持っておく

2番目は、意外とやっていない人が多いところです。
書くときは管理画面か下書きを見ているので、公開されたページを広告込みで読む機会が少なくなります。

この記事の考え方を、サイト運営の側から見ると、次の記事につながります。
→ AI倫理・AIガバナンスとは|AIとどう付き合うかのルール作り
 仕組みを動かす側が、何を決めておくべきかの話です。

→ ダークパターンとは|「お試し」が定期購入になる画面の作りと、2026年9月に出た規制の中間取りまとめ
 同じ「画面に出てくるものを、自分では選んでいない」という話を、通販の側から書いています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 7府省庁の要請は、法律による命令なのですか。

命令ではなく、文書による要請です。要請の本文にも、行政手続法上の行政指導にあたり、処分ではないと書かれています。ただし、実施内容を令和8年10月16日までに、実施結果を令和9年3月16日までにデジタル庁へ報告することが求められています。「やってください」だけでなく「何件やったか数えて出してください」という形になっている点が、これまでの呼びかけとの違いです。10月16日に1つ目の報告期限を迎えました。各社の数字が出そろうのは、令和9年3月16日の報告です。

Q2. 要請を受けたのはどこですか。

Google LLC、LINEヤフー株式会社、Meta Platforms, Inc.、TikTok Japan、X Corp.の5社です。要請したのは警察庁、金融庁、消費者庁、デジタル庁、総務省、法務省、経済産業省の7府省庁です。

Q3. 「生成AIで作った広告である旨」は、もう表示されているのですか。

10月16日に、5社が実施内容を報告する期限を迎えました。ただ、報告の中身は10月16日の時点で公表されておらず、いつから、どの形で表示されるのかは分かっていません。要請の文言は「確認することができるようにするなど」であり、表示の形まで指定されているわけではありません。読んでいる時点でどうなっているかは、広告のメニューを開いて実際の画面で確認してください。

Q4. 表示があれば、その広告は安全ですか。

違います。表示は「AIで作られている」という情報であって、詐欺かどうかの判定ではありません。逆に、表示の仕組みに乗っていない広告には何も付きません。見分けるときは、広告主の名前、リンク先のドメイン、連絡の経路の3つを見てください。

Q5. 通報しても消えないのはなぜですか。

消えても、広告主が別の名前で入り直せば、また出せるためです。今回の要請の1項目目が広告主の本人確認になっているのは、ここに手を入れる狙いだと読めます。中身を見て消す方法だけでは、作られる速さに追いつきません。

Q6. 名前や顔を使われた本人は、どうすればよいのですか。

総務省の報道資料も「なりすまされた者の社会的信頼を著しく損なうおそれ」を理由に挙げています。削除要請の窓口としてインターネット・ホットラインセンターが挙げられているほか、権利侵害としての対応もあり得ます。個別の対応は法律の専門家に相談してください。私は法律の専門家ではありません。

Q7. 自分のサイトに広告を載せています。責任はありますか。

法的な責任の有無はここでは扱いません。実務として言えるのは、配信される広告の中身をサイト運営者が個別に選べる仕組みにはなっていないことと、カテゴリのブロック設定があるなら使えることです。少なくとも、自分のサイトを読者と同じ状態で広告込みで見る習慣は持っておいたほうがよいと思います。

まとめ

2026年8月7日、7府省庁が合同で、SNS大手5社になりすまし詐欺広告への対策強化を要請しました。
求められたのは、広告主の本人確認、広告の透明性向上、削除要請への対応の徹底の3つです。
いずれも報告の期限つきです。実施内容の報告期限だった令和8年10月16日は過ぎ、次は令和9年3月16日の実施結果の報告です。
政府は令和9年春頃にその結果を確かめ、必要なら法整備を含む対策も検討するとしています。

透明性の項目には「主に生成AI技術を用いて作成された広告である旨」を確認できるようにする、という一文が入りました。
AIで作ることを禁じるのではなく、作ったと分かるようにする方向です。

広告が消えにくいのは、止められる場所が広告主・プラットフォーム・媒体・見る人の4者に分かれていて、
中身を選べるのが上の2者だけだからです。
作るコストが下がり、広告主は名前を変えて入り直せる。だから今回、本人確認が1項目目に置かれました。

見分けるなら、動画の出来ではなく広告の情報です。
広告主の名前、リンク先のドメイン、連絡の経路。この3つが判断の手がかりになります。
そして押す前にスクリーンショットを撮ってください。出し分けられた広告は、後から探しても見つかりません。

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この記事を書いた人:kkazuki|AI/DX分野ブログ運営者 → 運営者情報

※制度と各社の対応は2026年10月1日時点の情報です。要請は法律による命令ではなく、実装の状況は事業者ごとに異なります。被害に遭った、または遭いそうな場合は、警察相談専用電話「#9110」や消費者ホットライン「188」など専門の窓口にご相談ください。

参考

本記事のタイムラインの記録は、筆者が自分の画面で実施した結果です(期間と対象サービスは本文に記載)

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