主要LLMの最新動向2026|海外勢と国産モデル、政府の取り組み

脳のモデルとさまざまなデータを組み合わせた画像

本記事は、2026年10月時点でのLLMの動向についてまとめたものです。
用語の意味や仕組みから確認したい場合は、5段階に分けた解説記事があります。
→ LLM(大規模言語モデル)とは|5段階でわかる用語解説

LLMをめぐる状況は、この1年で「どれが賢いか」から「どれを、誰に、どう使わせるか」へ移りました。
主要各社は2026年9月の最初の週に、そろって新しい主力モデルを出し、9月後半には、その水準を安い価格帯へ下ろすモデルを続けて出しています。
一方で、性能が上がったモデルほど、使える人を絞って提供する形が増えました。
9月30日にGoogleが発表した最上位のGemini 4 Argonも、まず一部のセキュリティ防御の専門家に限って提供が始まっています。

本記事では、海外の主要開発元、国産LLMの一覧、政府の取り組み、そしてこの1年の変化を、各社の公式発表と省庁の公表資料に沿って整理します。
モデル名・日付・価格は、2026年10月1日までに各社と省庁の公式ページで確認したものです。

この記事でわかること

知りたいこと要点詳しくは
海外はどうなっているか9月初めに主力、9月後半に中位の新モデルが相次いだ。中国勢は兆単位の重みを公開勢力図
9月後半に何が起きたかGPT-6 Sol・Luna・6.1 Sol、Claude Opus 5.5・Sonnet 5.5、Grok 4.7。最上位の水準を安い価格帯へ下ろす動き9月後半の動き
何が新しい問題かサイバー能力の高いモデルは、使える人を絞って提供されるようになった。Gemini 4 Argonも限定提供から利用の制限
国産LLMには何があるか政府の源内で5社のモデルを試用中。作り方は2方式に分かれる国産LLM
国はどう関わっているか約18万人規模の実証、11月からの有償調達に向けた公募、GENIACの支援政府の取り組み
この1年で何が変わったか推論の常時化、100万トークン、値下げと値上げの両方1年の変化
どう選べばいいか賢さより、業務基盤とデータ要件と課金構造で決まる選定の実務

2026年9月のLLM勢力図

欧米の主要な開発元は6陣営に整理できます。
以下は、各社の公式発表で確認できた2026年10月1日時点のモデルです。

開発元最上位モデル発表・提供同じ系列のほかのモデル
OpenAIGPT-6 Astra2026年9月3日から順次GPT-6.1 Sol(9月29日)、GPT-6 Sol・GPT-6 Luna(9月22日)、GPT-5.6(Sol/Terra/Luna、7月9日)
AnthropicClaude Fable 5.12026年9月1日Claude Opus 5.5(9月22日)、Claude Sonnet 5.5(9月28日)、Claude Haiku 4.5
GoogleGemini 4 Argon2026年9月30日発表(限定提供から)Gemini 3.8 Flash(9月2日)、Gemini 3.7 Flash(8月13日)
MetaMuse Spark 1.32026年9月2日Muse Glimmer(8月10日、オープンウェイト)
xAIGrok 4.72026年9月21日Grok 4.6(8月12日)
MistralMistral Medium 3.5バージョン26.04Mistral Large 3(オープンウェイト)

9月の最初の週に、OpenAI・Anthropic・Googleの3社が続けて新しいモデルを出しました。
Googleは月末の9月30日に、最上位のGemini 4 Argonも発表しています(提供の範囲は利用の制限の節で扱います)。

OpenAIのGPT-6 Astraは、一部の組織への提供から始まり、ChatGPTのPlus・Pro・Business・Enterpriseと、API、Microsoft Azure、AWS Bedrockへ広げると発表されています。

AnthropicのClaude Fable 5.1は、6月9日に出たFable 5の後継です。
典型的な使い方で、Fable 5より費用が約25%下がると説明されています。

GoogleのGemini 3.8 Flashは、Gemini 3.7 Flashからわずか3週間後の発表でした。
Flashは、Googleが「働き手(workhorse)」と位置づける、速さと費用を重視した系列です。

MetaのMuse Spark 1.3は、9月2日に開発者向けのAPIとコーディング用のツールで提供が始まりました。
道具を呼び出す回数と使うトークンを減らしたと説明されています。
Metaは同じ発表で、Muse Sparkの重みを「近く」公開するとも書いています。
9月8日には、このモデルで動く個人向けのAIエージェント「Muse」を米国で公開しました。

xAIのGrok 4.7は、9月21日にAPIで提供が始まりました。
価格と扱える長さ(50万トークン)はGrok 4.6と同じです。
xAIの開発者向け資料では、開発元の表記に「xAI」と「SpaceXAI」が混在しています。

中国勢は、兆単位の重みを公開している

中国の開発元の動きも、この1年ではっきり変わりました。

開発元モデル規模(総パラメータ/1回に動かす分)公開
DeepSeekV4-Pro1.6兆/490億4月24日にプレビューと重みを公開、8月13日に正式提供
AlibabaQwen3.8-Max2.4兆/950億8月3日発表。重みは8月中旬にHugging Faceへ
Moonshot AIKimi K32.8兆7月末に重みを公開

DeepSeekは9月10日に、画像も扱えるV4.1-Flashも出しています。

注目すべきは規模の数字そのものではなく、この3社がいずれも重みを公開している点です。
最上位級に近いモデルを、自社の環境に置いて動かせる選択肢が、現実にある状態になりました。

「総パラメータ」と「1回に動かす分」が分かれている理由は、5段階版のLevel 5(混合エキスパート)で扱っています。

3つの路線に分かれた

各社の違いは、公開の仕方にいちばんはっきり表れます。

最上位モデルを公開しないのがOpenAI、Anthropic、xAIです。
主力のモデルはAPIとサービス経由でのみ提供し、モデル本体は外に出しません。
ただしOpenAIは2025年8月に小型の公開モデル「gpt-oss」を、xAIは同じ月に前の世代のGrok 2.5の重みを出しており、Anthropicだけが重みを1つも公開していません。

オープンウェイトを主軸にするのがDeepSeek、Alibaba、Moonshot AIです。

併用がMetaとMistral、Googleです。
Googleは、Geminiとは別に軽量の公開モデル「Gemma 4」を2026年4月に出しています。
Metaは、上位のMuse Sparkから知識を引き継いだ300億パラメータのMuse Glimmerを、Apache 2.0で公開しました。
Mistralは、フラッグシップのMedium 3.5とは別に、Large 3とSmall 4をApache 2.0で出しています。

公開範囲の違いは、そのまま「自社のサーバーの中だけでAIを動かせるか」という実務上の分かれ目になります。

主要なLLMの開発元を公開の仕方で3つの路線に分けた図。最上位を公開しないのはOpenAI、Anthropic、xAIで、Anthropicは重みを1つも公開していない。オープンウェイトが主軸なのはDeepSeek、Alibaba、Moonshot AIで、いずれも兆単位のモデルの重みを公開。併用はGoogle、Meta、Mistral。
公開の範囲は、自社のサーバーの中だけでAIを動かせるかの分かれ目になる。


ライセンスの読み方は、オープンウェイトの動向記事にまとめています。
→ オープンウェイトの最新動向2026|ライセンスの読み方

9月後半:最上位の水準を、安い価格帯へ下ろす

9月後半の新モデルは、性能の頂点を上げるより、同じ水準を安く出すことに向いています。
9月21日と22日の2日間に3社が同じ方向のモデルを出し、28日と29日にはAnthropicとOpenAIが続きました。

開発元モデル発表開発元の説明
OpenAIGPT-6 Sol、GPT-6 Luna9月22日Astraが持ち込んだ水準を、より効率よく、手の届く形で広げる。API料金はGPT-5.6のプロモーション価格の半額
AnthropicClaude Opus 5.59月22日多くの作業でFable 5.1並みの性能。典型的な使い方でOpus 5より約40%安い
xAIGrok 4.79月21日価格はGrok 4.6と同じ
AnthropicClaude Sonnet 5.59月28日Sonnet 5と同じ単価で30%以上速い。作業あたりの費用は最大30%下がる
OpenAIGPT-6.1 Sol9月29日GPT-6 Solの改良版。Astraに近い性能を、Astraの5分の1の価格で
2026年9月後半に出た6つのモデルの料金の表。GPT-6 SolとClaude Sonnet 5.5とGPT-6.1 Solは100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドル、GPT-6 Lunaは0.1ドル・0.5ドル、Claude Opus 5.5は4ドル・20ドル、Grok 4.7は据え置き。Gemini 3.8 FlashとGemini 4 Argonは導入時の価格が期限つきで、その後に上がる。
最上位を超えたのではなく、最上位に近いものを安く、多くの人に。

OpenAIのGPT-6 SolとLunaは、9月3日に出た最上位のAstraの下に入る、中位と軽量のモデルです。
100万トークンあたりの料金は、Solが入力2ドル・出力10ドル、Lunaが入力0.1ドル・出力0.5ドルです。
ChatGPTでは、まず作業向けの画面(WorkとCodex)に入り、10月7日にふだんのチャットにも入りました。
チャットのモデルは、Plus・Pro・Business・EnterpriseがSol、無料とGoがLuna(10月8日から)です。

AnthropicのClaude Opus 5.5は、「Claude 5.5ファミリー」の最初のモデルです。
100万トークンあたり入力4ドル・出力20ドルで、Opus 5の入力5ドル・出力25ドルから下がりました。
開発者向けの資料では、多くの用途で最初に選ぶモデルとして勧められています。
Opus 5.5は、代表のダリオ・アモデイ氏が「能力向上のペースを調整する」ことにも触れて慎重さを求めたあとに出た、最初のモデルでもありました(TechCrunchの報道)。

Opus 5.5の発表時に「数週間のうちに」と予告されていたClaude Sonnet 5.5は、6日後の9月28日に出ました。
100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドルとSonnet 5と同じ単価のまま、応答が30%以上速くなったと説明されています。
Haiku 5.5は、まだ「数週間のうちに」の段階です。

xAIのGrok 4.7は、価格をGrok 4.6と同じに据え置いています(土台のモデルを大きくしたと報じられています)。

OpenAIのGPT-6.1 Solは、9月22日のGPT-6 Solを1週間で改良した版です。
料金はSolと同じ入力2ドル・出力10ドルで、OpenAIは「Astraに近い性能を5分の1の価格で」と説明しています。
ChatGPTではWorkとCodexの画面で使われています(10月7日にチャットに入ったのは、6.1ではないGPT-6 Solです)。
なお、10月に予定されていたGPT-6.1 Astraの公開は、意図どおりに振る舞うかを見る試験(アライメント)や、利用者が許可した範囲にとどまるかの試験で前の版より悪い結果が出たため、取りやめになったと報じられています(Wall Street Journalの報道)。

どれも「最上位を超えた」ではなく、「最上位に近いものを、安く、多くの人に」という出し方です。
利用者の側から見ると、最上位のモデルを使わなくても足りる作業の範囲が広がった、ということになります。
ChatGPTでの使える範囲や無料版の扱いは、別の記事で詳しく書いています。
→ GPT-6は無料版で使えるのか|Astra・Sol・Lunaの違いと、無料で試せる範囲【2026年10月】

高性能モデルほど、使える人を絞るようになった

2026年に入って、新しい問題がはっきりしました。
性能が上がったモデルほど、全員に同じ形では出さなくなったことです。
きっかけは、ソフトウェアの脆弱性を見つけて攻撃に使う力(サイバー能力)の向上です。

開発元何をしたか
Anthropic最上位のClaude Mythos 5.1は、審査を通った専門家(防御目的のセキュリティ、生命科学の研究)に限って提供。一般向けのFable 5.1は、同じ土台に安全装置を加えた版。9月22日のOpus 5.5にも、Fable 5.1と同じ水準の安全装置が入った
OpenAIGPT-6 Astraは、高度なサイバー攻撃に関わる依頼を断る。防御側への提供は別のプログラム(Daybreak)で広げる
Googleサイバー特化のGemini 3.8 Flash Cyberは、政府機関や重要インフラの事業者などに限って提供。9月30日のGemini 4 Argonも、まずサイバー防御の専門家(Fairwindプログラム)に限って提供し、有料のAPI利用者とGoogle AI Ultraの契約者へ順に広げる

実際に、提供そのものが止まった例もあります。
Anthropicの説明では、Fable 5とMythos 5は6月9日に公開されたあと、6月12日に米国政府が輸出規制を適用しました。
利用者の国籍をその場で確認する手段がなかったため、全利用者への提供を一時停止しました。
規制は6月30日に解除され、翌7月1日に提供が再開されています。

業務で最上位のモデルを使う計画を立てるときは、「使える状態が続くか」も確認項目になった、ということです。
同じ系列でも、提供の範囲が一般向けと限定版で分かれることがあります。

9月後半の新モデルでも、この流れは変わっていません。
Anthropicは、Opus 5.5が生物学とサイバー分野でMythosに近い能力を持つため、Fable 5.1と同じ安全装置をかけたと説明しています。
9月28日のSonnet 5.5でも、危険度の高いサイバー関連の依頼は、目に見える形で前のSonnet 5に切り替わる仕組みが入りました。
中位の価格帯に下りてきたモデルでも、性能が上がれば同じ制限がかかる、ということです。

GoogleのGemini 4 Argonは、出し方そのものが限定から始まりました。
防御の専門家にはサイバー分野の安全装置を外した状態で渡し、一般の利用者向けには悪用を防ぐ安全装置をかけて広げる、という二段構えです。

国産LLMの一覧

国内でも、実用段階のモデルが出そろいました。
作り方は大きく2つに分かれます。
基盤から独自に学習するフルスクラッチと、海外の公開モデルを土台に日本語のデータで学習を重ねる方式です。

開発元モデル直近の動き作り方(公式発表の記載)
NTTtsuzumi 25月19日に更新。図表入りの日本語文書の処理を1GPU環境で記載なし
NECcotomi v3源内で試用。8月18日に業務自動化AIエージェント「cotomi Agent」をMicrosoft Marketplaceで販売開始記載なし
富士通Takane源内では32Bの構成で試用記載なし
Preferred NetworksPLaMo 3.0 Prime6月22日に正式リリース。扱える長さを64kから256kへフルスクラッチ(NICTとの共同研究の事前学習モデルがベース)
ソフトバンク(SB Intuitions)Sarashina36月30日に東日本のデータセンターで提供開始。西日本は10月の予定記載なし(国産生成AIと説明)
楽天Rakuten AI 3.03月17日公開。約7,000億パラメータのMoE、Apache 2.0で無償公開公開モデルを土台に独自開発
KDDI/ELYZALlama-3.1-ELYZA-JP-70B ほか1月16日に日本語の拡散言語モデル「ELYZA-LLM-Diffusion」を商用利用可で公開Llama 3.1への追加学習
国立情報学研究所(LLM-jp)LLM-jp-44月3日に8B・32B-A3B、8月18日に33B、9月初めに画像も扱う9B(LLM-jp-4-VL 9B)を公開フルスクラッチ(約12兆トークン)

作り方を「記載なし」とした4社について、フルスクラッチか追加学習かを断定している一次資料は見つけられませんでした。
比較記事の断定的な記述には、この点で根拠を確認できないものが混じります。

押さえておきたい2つの動き

楽天のRakuten AI 3.0は、約7,000億パラメータの規模でありながら、Apache 2.0のオープンウェイトとして無償公開されました。
学習費用の一部に経済産業省のGENIACの補助を受けたモデルが、誰でも使える形で出た例です。

国立情報学研究所のLLM-jp-4は、フルスクラッチで学習したモデルを、オープンソースのライセンスで公開している系列です。
4月から9月までの半年で、大きさの違うモデルと、画像も扱うモデルを続けて出しています。

規模を競う段階から、用途と公開の仕方で分かれる段階に入った、というのが国産勢の現在地です。

もう1つ、別の方向の動きもあります。
東京のSakana AIは9月11日に「Fugu Max」と「Fugu Ultra v2」を出しました。
これは1つの大きなモデルではなく、重みが公開されたモデルや専門のモデルを束ね、作業ごとに振り分ける仕組みです。
Fugu Maxは100万トークンあたり入力2ドル・出力6ドルで、同社は他社の中位モデルより出力の単価が40〜60%安いと説明しています。
自前で巨大なモデルを学習する以外の道筋として、押さえておく価値があります。

政府の取り組み

国産LLMの開発と普及には、2つの経路で公的な後押しがあります。
使う側からの調達と、作る側への支援です。

デジタル庁の「源内」

政府職員向けの生成AI基盤が「源内(げんない)」です。
2025年5月にデジタル庁の職員向けに作られ、2026年5月から2027年3月まで、全府省庁の約18万人を対象とした大規模実証が行われています。
4月24日には、源内の一部(画面部分のソースコードなど)を、商用利用を認めるライセンスでOSSとして公開しました。
自治体の側で生成AIの導入がどこまで進んだかは、地方のAI活用の記事で扱っています。

国産LLMの試用は、次の経過をたどっています。

時期出来事
2025年12月〜2026年1月国産LLMの公募。15件の応募
2026年3月6日7件を選定
2026年5月29日までに2社が辞退し、5社と契約
2026年8月まで3社のモデルを国産クラウド(さくらのクラウド)上に構築
2026年9〜11月源内のチャットで、ほかのモデルとのA/Bテストを複数回
2026年11月〜12月2027年度向けの国産LLMの公募(予定)。今回から有償の政府調達に移り、評価テストは事前に方法を公表したうえで300問に拡充
2027年1月頃評価・検証結果の一部を公表(予定)
2027年4月から優れたモデルを政府が有償で調達(予定)

2026年度に源内で評価しているのは、次の5社のモデルです。

  • NTTデータ「tsuzumi 2」 ※さくらのクラウド上で稼働
  • ソフトバンク「Sarashina3 mini」
  • NEC「cotomi v3」
  • 富士通「Takane 32B」 ※さくらのクラウド上で稼働
  • Preferred Networks「PLaMo 2.0 Prime」 ※さくらのクラウド上で稼働

3月の選定では、KDDI・ELYZAの共同応募体とカスタマークラウドのモデルも選ばれていましたが、契約した5社には入っていません。

2026年度の試用が無償だったのに対し、11月からの公募は有償の調達に移ります。
前回は当日に50問で評価しましたが、次は評価の方法を先に公表し、300問に増やすとデジタル庁は説明しています。
国産モデルの開発元にとっては、政府が「買う」かどうかが決まる最初の選考になります。

デジタル庁の生成AI基盤「源内」での国産LLMの扱いの年表。2025年12月から2026年1月に公募して15件の応募、3月6日に7件を選定、5月29日までに5社と契約、9月から11月にA/Bテスト、11月から12月に有償の政府調達に向けた公募、2027年4月から有償で調達する予定。
2026年度の試用は無償。次の公募から、政府が買うかどうかの選考になる。

A/Bテストは、利用者に2つのモデルの出力を名前を伏せて見せ、どちらが好ましいかを選んでもらう方法です。
試験はデジタル庁と複数の省庁向けのチャットで行われます。行政の実務で比べた結果が公表されれば、民間の選定にも参考になる材料が出てきます。

経済産業省のGENIAC

作る側への支援がGENIACです。
2026年6月4日には、計算資源の提供支援(第4期)で、AI基盤モデルの開発テーマ16件が採択されました。

ロボットの分野にも広がっています。
政府の「AIロボティクス戦略」(令和8年3月26日)は、2027年6月頃を目途に、国産のロボット基盤モデルのベータ版をオープンソースで公開すると書いています。
→ AIロボットとは|5段階でわかる用語解説

制度の側

AI推進法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)は、2025年6月4日に公布・一部施行され、同年9月1日に全面施行されました。
この法律にもとづく人工知能基本計画は、2025年12月23日に初めて閣議決定され、2026年7月14日に改定版が閣議決定されています。

源内の大規模実証も、初回の基本計画で、まず政府自らが積極的かつ先導的にAIを使うと決めたことを受けたものです。

制度の全体像は、規制の記事で扱っています。
→ AI規制の現在地【2026年10月】日本のAI法とEU AI法、米国、中国、韓国の動き

この1年で変わったこと

2025年秋から2026年9月までの1年で、実務に関わる変化が4つ起きました。

推論が「常時オン」になった

考える工程を長く取るほど難しい問題の正答率が上がる、という性質は以前から知られていました。
変わったのは、それが選べる機能ではなくなった点です。

AnthropicはFable 5とFable 5.1、9月22日のOpus 5.5で、考える工程を常にオンとし、切れない仕様にしました。
深さは、別の設定(effort)で調整します。
OpenAIのGPT-5.6とGPT-6 Sol・Lunaも、推論の強さを「なし」から「最大」までの段階で選ぶ形です。
xAIのGrok 4.7、DeepSeek V4も、推論の強さを段階で選べます。

利用者から見ると、「速くて安い設定」と「よく考える設定」の選択が、料金と待ち時間の設計に組み込まれた、ということです。
推論の仕組みは5段階版で扱っています。
→ LLM(大規模言語モデル)とは|5段階でわかる用語解説

扱える長さは100万トークンが相場になった

一度に扱える文章量の上限は、この1年で桁が変わりました。

  • AnthropicのFable 5.1、Opus 5.5、Sonnet 5.5:100万トークン
  • OpenAIのGPT-6 Sol、GPT-6.1 Sol:105万トークン
  • DeepSeek V4(Pro・Flash):100万トークン
  • AlibabaのQwen3.8-Max:100万トークン
  • xAIのGrok 4.6・4.7:50万トークン
  • 国産ではPLaMo 3.0 Primeが6万4千から25万6千へ拡張

9月30日のGemini 4 Argonは、1回に出力できる長さを6万4千から100万トークンへ広げました。入力だけでなく、出力の上限も桁が変わり始めています。

ただし、上限まで入れれば正確に読むわけではありません。
長い入力の中ほどに置いた情報が使われにくくなる傾向は、5段階版のLevel 5で扱っています。
→ LLM(大規模言語モデル)とは|5段階でわかる用語解説

入れた量がそのまま料金と上限にどう響くかは、トークンの記事にまとめています。
→ トークンとは|AIの料金と文字数制限を決める単位

値下げと値上げが同時に起きている

値下げの例は多くあります。

  • OpenAI:GPT-5.6 Lunaを80%、Terraを20%値下げ(7月30日)。Solも20%超の値下げ(8月21日)。9月22日のGPT-6 SolとLunaは、GPT-5.6のプロモーション価格の半額。9月29日のGPT-6.1 Solは、Solと同じ単価で性能を上げた
  • Anthropic:Opus 5は、Fable 5の半分のコストで最先端に近い性能と説明。Fable 5.1は典型的な使い方でFable 5より約25%安い。9月22日のOpus 5.5は、Opus 5より入力・出力とも2割安い単価で、典型的な使い方では約40%安い。9月28日のSonnet 5.5は、単価を据え置いたまま作業あたりの費用を最大30%下げた
  • xAI:Grok 4.7は、Grok 4.6と同じ価格で提供
  • DeepSeek:8月16日から時間帯別の料金を導入し、混雑していない時間帯はピークの半額。9月10日のV4.1-Flashでも値下げ

一方で、導入時の価格が期間限定のものもあります。
GoogleのGemini 3.8 Flashは、100万トークンあたり入力0.75ドル・出力3.75ドルが2026年12月31日までの価格で、2027年1月1日から入力1.50ドル・出力7.50ドルに上がると公表されています。

9月30日のGemini 4 Argonも同じ形で、導入期間は入力2ドル・出力10ドル、その後は入力4ドル・出力20ドルに上がると発表されています。

年をまたいで使う見積もりでは、この切り替えを入れておく必要があります。
用途別の試算は、料金の記事にまとめています。
→ 主要AI APIの料金比較2026|日本語のトークン効率と試算

オープンウェイトとの差が縮まった

最上位の非公開モデルと、重みが公開されたモデルの差は、明確に縮まりました。
上で見たDeepSeek、Alibaba、Moonshot AIが、いずれも兆単位の規模で重みを公開していることが、その現れです。
Metaも、Muse GlimmerでApache 2.0の公開に戻り、上位のMuse Sparkの重みの公開も予告しています。

ただし、性能差を数値で示す指標は、測り方によって結果が変わります。
「差が何点まで縮まった」という比較記事の数字は、指標の出どころを確かめてから受け取るのが安全です。

選定の実務

2026年10月時点で、上位モデル同士の体感差は縮まっています。
そのため、選ぶときの判断軸も、賢さの比べ合いから別のものへ移りました。

  • 業務基盤:すでに使っている業務ソフトやクラウドの中で使えるモデルは、配布と調達の手間が小さい
  • データ要件:自社のサーバーの中で完結させる必要があるなら、オープンウェイト、または国産のオンプレミス対応モデル
  • 用途の重さ:分類や抽出は軽いモデル、文章作成は中位、複雑な判断だけ上位
  • 課金構造:同じ会社の中でも、最上位と最も安いモデルで出力単価に大きな差がある。期間限定価格の終わりも確認する

このうち、費用への影響がいちばん大きいのが、用途ごとの使い分けです。
すべてを最上位のモデルで処理すると、費用は簡単に数倍になります。

9月後半の新モデルで、この使い分けはさらに組みやすくなりました。
最上位に近い水準のモデルが、最上位の数分の1の単価で出ているためです。
まず中位のモデルで試し、足りない作業だけ最上位に回す順番にすると、費用を抑えながら品質を落としにくくなります。

これに、今年は「使える状態が続くか」が加わりました。
サイバー分野のように提供が限定されやすい用途では、代わりのモデルをあらかじめ決めておくと、止まったときの影響を小さくできます。

国産モデルが選ばれる場面も、はっきりしてきました。
NTTのtsuzumi 2は1GPUの環境で動く設計を掲げており、機密を外に出せない業務やオンプレミス環境での選択肢になります。
政府の源内が国産クラウドと国産モデルの組み合わせを試しているのも、同じ方向の動きです。

次の更新で見るべき点

この記事は四半期ごとに点検します。次回の確認対象は以下です。

  • デジタル庁「源内」の2027年度向けの国産LLMの公募(2026年11月開始、12月締切の予定)
  • 源内の評価・検証結果の一部公表(2027年1月頃の予定)と、2027年4月からの調達
  • AnthropicのHaiku 5.5(「数週間のうちに」と予告。Sonnet 5.5は9月28日に公開済み)
  • GPT-6.1 Solが、ChatGPTのふだんのチャットにも入るか(10月7日にチャットに入ったのはGPT-6 SolとLuna)
  • GPT-6.1 Astraの取りやめ報道のあと、Astraの次の版がいつ出るか
  • MetaのMuse Sparkの重みの公開(「近く」と予告)
  • Gemini 4 Argonが、有料のAPI利用者とGoogle AI Ultraの契約者にいつ広がるか。導入価格がいつまで続くか
  • GPT-6 Astra、Claude Mythos、Gemini 3.8 Flash Cyber、Gemini 4 Argon の提供範囲がどこまで広がるか
  • Mistralが準備している新しいオープンウェイトの大型モデルの公開
  • Gemini 3.8 Flash の2027年1月1日の価格改定
  • ソフトバンクのSarashinaの西日本での提供開始(10月予定。10月1日時点では発表なし)
  • GENIACの採択テーマから出てくるモデルの公開

筆者の使い分け

私は前職のシステムエンジニアでの経験を生かして、AI分野の記事を書く仕事をしています。その経験をもとに、このサイトを個人で立ち上げました。
このサイトの記事づくりにも、生成AIを一部使っています。

ふだん使っているのはClaudeです。
記事の下書きと、資料の一次調査にはOpus5.5モデルを使っています。
調べる量が多くなりそうな調査や、資料の読み取りの一部は、一段軽いSonnet5.5に切り替えています。最上位のFable5.1は現状では使っていません。

うまくいっていないこともあります。
どの程度の作業で使用量の上限に届くのかが、いまだに読めません。
作業の途中で突然上限に達し、使える枠が戻るまで待つことになったのが、9月だけで3回ありました。

ただ、頻度はそれほど高くないので、いまのところ追加クレジットには課金していません。
待っているあいだは、自分の手でやるべき作業に充てています。

本文では「まず中位で試し、足りない作業だけ上位に回す」と記述しましたが、上限に達する作業量がまだ判断できないことにより、あらかじめ作業量の多いものは下位モデルを使うことにしています。
中位モデルだけで筆者の作業は事足りているので、上位モデルを考えてはいませんが、いずれ高度な作業には使うことも検討したいと考えています。

契約しているプランと実際の請求額は、別の記事に記録しています。
→ Claude Pro月22ドルは日本円でいくら?10月の請求は3,623円|12ヶ月の利用記録

よくある質問(FAQ)

Q. 結局、どのLLMを使えばいいですか?
A. 2026年10月時点では、上位モデル同士の体感差は縮まっています。いま使っている業務ソフトやクラウド、機密データを外に出せるか、処理の重さと量、この3点から絞るほうが現実的です。

Q. 9月に出た新しいモデルは、すぐに使えますか?
A. モデルによって違います。Claude Opus 5.5・Sonnet 5.5やGrok 4.7はAPIですぐに使えますが、GPT-6 SolとLunaはChatGPTでは作業向けの画面から先に入り、10月7日からふだんのチャットでも使われています(6.1 Solは作業向けの画面だけ)。Claude Mythos 5.1やGemini 3.8 Flash Cyberは審査を通った利用者に限られ、Gemini 4 Argonもまずサイバー防御の専門家から提供が始まっています。一般向けに出ている版と、限定版の違いを確認してください。

Q. 国産LLMは海外のモデルより性能が低いのですか?
A. 汎用的な作業では海外の最上位モデルが優位とされる場面が多い一方、日本語の業務文書や、国内での運用といった条件が付くと評価が変わります。デジタル庁は2026年9〜11月に、源内で国産モデルとほかのモデルを比べる試験を行い、2027年1月頃に結果の一部を公表する予定です。

Q. 源内で試用されている国産LLMは、民間でも使えますか?
A. 対象の5社のモデルの多くは、民間向けにも提供されています。ただし、政府の試用で使われている構成と、民間向けの構成が同じとは限りません。各社の提供条件を個別に確認してください。

Q. オープンウェイトのモデルは無料で使えますか?
A. モデル自体の入手は無料でも、動かすための計算環境には費用がかかります。兆単位のモデルは、手元のパソコンでは動きません。またライセンスの条件はモデルごとに異なるため、仕事で使うなら必ず確認してください。

Q. 100万トークン扱えるなら、資料を全部貼ればいいのですか?
A. 上限まで入れられることと、正確に読み取れることは別です。長すぎる入力では要点を拾い損ねることがあり、料金も入力量に比例して増えます。関係する部分に絞って渡すほうが、費用と精度の両面で有利です。

Q. 最上位のモデルを使わないと損ですか?
A. そうとは限りません。9月後半に出たGPT-6 Sol・Luna・6.1 SolやClaude Opus 5.5・Sonnet 5.5は、最上位に近い水準を、最上位の数分の1の単価で出すことを狙ったモデルです。まず中位のモデルで試し、足りない作業だけ最上位に回すほうが、費用の面では有利です。

Q. モデルの世代交代が速すぎて追いきれません。
A. 個々のモデル名を追うより、自分がよく使う作業を3つ決めて、新しいモデルが出たらその3つを同じ条件で試す方法をおすすめします。比べ方を持っておけば、世代が変わっても判断できます。

Q. この記事の情報はいつまで有効ですか?
A. モデルの世代と価格は数か月で変わります。本記事は四半期ごとに点検していますが、導入を判断する際は、必ず各社の公式ページで最新の情報を確認してください。

まとめ

2026年10月時点のLLMは、欧米6陣営と中国勢、そして国産の複数のモデルが並ぶ状態にあります。
9月の最初の週には、OpenAI・Anthropic・Googleが続けて新しい主力モデルを出しました。
9月後半には、GPT-6 Sol・Luna・6.1 Sol、Claude Opus 5.5・Sonnet 5.5、Grok 4.7が続き、最上位に近い水準を安い価格帯で出す動きがはっきりしました。
月末にGoogleが発表した最上位のGemini 4 Argonは、限定提供から始まっています。

この1年の変化は、推論の常時化、100万トークンの標準化、値下げと期間限定価格の混在、オープンウェイトの台頭の4点です。
そこに、高性能なモデルほど使える人を絞るという新しい流れが加わりました。

国内では、政府の源内で5社の国産モデルの試用が進み、2026年11月からの公募を経て、2027年4月からの有償調達が予定されています。

動向は変わりますが、土台にある仕組みは変わりません。
仕組みを押さえておくと、次に新しい発表があったときに自分で読み解けるようになります。
→ LLM(大規模言語モデル)とは|5段階でわかる用語解説

用語の全体像はこちらで確認できます。
→ 今さら聞けないAI用語30選|初心者でもニュースが読めるようになる意味と読み方

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【参考】

本記事のモデル名・日付・数値は、以下の一次情報で確認したものです。ChatGPTのチャットへの提供(10月7日)は10月25日に、10月1日の更新で追加・変更した項目は10月1日に、9月27日の更新で追加・変更した項目は9月27日に、それ以外は9月17日に確認しています。
GPT-6 AstraとGPT-6.1 Solの発表日は、OpenAIの発表ページに日付の記載がないため、報道の日付によっています。GPT-6.1 Astraの取りやめは、OpenAIの発表ではなく報道です。

海外の開発元

国産LLM

政府の取り組み

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