カスハラ対策が2026年10月1日から義務に|会社が講じる10の措置と、コールセンターで使われ始めたAI【2026年】

ヘッドセットをつけたコールセンターのオペレーターの女性

2026年10月1日から、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対策が、すべての事業主の義務になりました。
改正された労働施策総合推進法と、2026年2月26日に公布された厚生労働省の指針が土台です。

厚生労働省の実態調査(令和5年度)では、過去3年間にカスハラの相談があった企業は27.9%でした。
パワハラやセクハラの相談件数が横ばいか減っているなかで、カスハラだけは「増えている」が「減っている」を上回りました(23.2%対11.4%)。

一方、電話の窓口では、AIを使った対策も出てきました。
怒鳴り声を「怖くない声」に変えてオペレーターに届けるサービスや、通話をその場で文字にして管理者が見守る仕組みです。
本記事では、会社が何を義務として講じるのかを指針に沿って整理し、そのうえでAIがどの措置を助け、どこは代わりにならないのかを分けて解説します。
指針にも厚生労働省のマニュアルにも「AI」という言葉は1つも出てきません。しかし、だからこそ、どこにAIを当てはめるかを自分で考える必要があります。

この記事でわかること

先に結論をまとめます。知りたい項目から読んでください。

知りたいこと結論詳しくは
いつから、何が義務になるか2026年10月1日から、カスハラの防止措置が事業主の義務に(施行済み)何が義務になるのか
どこからがカスハラか3つの要素をすべて満たすもの。正当なクレームは当たらないカスハラの定義
会社は何をするのか指針が定める10の措置10の措置
電話ではどう対応するのか録音できるようにする。膠着から30分程度で切ってよいという例示電話での対応
AIは何に使われているか声の変換、通話の文字化、用件の聞き取り、記録コールセンターのAI
AIで足りないことは線引きの判断、方針、相談窓口。AIは措置を助けるだけAIでは代わりにならないこと
小さい会社は何からやるか方針1枚、相談先、電話のルールの3つ小さい会社の場合

何が義務になるのか

「カスハラを防ぐための雇用管理上の措置」を講じることが、事業主の義務になります。

土台になっている法律と指針は、次のとおりです。

項目内容
法律労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)
成立と公布2025年6月4日成立、6月11日公布
施行2026年10月1日
根拠となる条文労働施策総合推進法 第33条
指針事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号)。2026年2月26日公布
マニュアルカスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)。2026年9月作成

対象は、業種も規模も問いません。
店舗の接客だけでなく、電話やSNSで行われるものも含まれると、指針に明記されています。

同じ改正で、就職活動中の学生やインターンシップ参加者へのセクシュアルハラスメント(求職者等セクハラ)の防止措置も、同じ日に義務になります。
この記事ではカスハラに絞って書きます。

カスハラの定義:3つの要素をすべて満たすもの

顧客からの苦情が、すべてカスハラになるわけではありません。

指針の定義は次のとおりです。

職場において行われる①顧客等の言動であって、②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすもの

3つを分けて見ます。

要素意味例
①顧客等顧客、取引の相手方、施設の利用者など。これから買うかもしれない人も含む問い合わせをする人、取引先の担当者、施設の利用者の家族、近隣の住民
②社会通念上許容される範囲を超えた言動「言動の内容」か「手段や態様」のどちらかが相当でないもの下の表
③就業環境が害される働くうえで見過ごせない程度の支障が出ること。平均的な労働者の感じ方で判断する能力の発揮に重大な悪影響が出る

②は、内容と手段の2つに分かれます。どちらか一方だけでも当たり得るとされています。

分類指針とリーフレットの例
言動の内容要求に理由がない、契約を著しく超えるサービスの要求、対応が不可能な要求、不当な損害賠償の要求
手段や態様暴行、脅迫、侮辱、土下座の強要、大声での威圧、同じ質問の執拗な繰り返し、長時間の居座りや電話での拘束、SNSへの投稿をほのめかす脅し

逆に、当たらないものもはっきり書かれています。
客観的に見て社会通念上許容される範囲の苦情は「正当な申入れ」で、カスハラではありません。
また、障害のある人が不当な差別的取扱いをしないよう求めることや、配慮が必要だと伝えること自体は、カスハラに当たりません。

この線引きが、現場でいちばん難しいところです。
同じ実態調査で、カスハラ対策の課題として最も多く挙がったのは「迷惑行為と正当なクレームや要求とを区別する明確な判断基準を設けることが難しい」(25.9%)でした(「特にない」を除く)。
後で書くAIの話も、この線引きには手を出せません。

会社が講じる10の措置

指針は、会社が必ず講じる措置を10項目に分けています。

厚生労働省のリーフレットの番号に沿って並べます。

分類番号措置
方針の明確化と周知①カスハラには毅然と対応し、労働者を保護するという方針を決め、周知する
②カスハラの内容と、あらかじめ決めた対処の内容を周知する
相談体制③相談窓口を決め、周知する
④相談窓口の担当者が適切に対応できるようにする
事後の対応⑤事実関係を迅速かつ正確に確認する
⑥被害を受けた人への配慮の措置を行う
⑦再発防止の措置を講じる
抑止⑧特に悪質なカスハラへの対処方針を決め、周知し、対処できる体制を整える
あわせて講じる措置⑨相談した人などのプライバシーを守り、そのことを周知する
⑩相談したことを理由に不利益な取扱いをしないと定め、周知する

②の「あらかじめ決めた対処の内容」として、リーフレットは次の例を挙げています。

  • 管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐ
  • 可能な限り労働者を一人で対応させない
  • 犯罪に当たり得る言動は警察へ通報する
  • 本社や本部に情報を共有し、指示を仰ぐ

⑧の「特に悪質なもの」への対処としては、警告文を出す、法令の範囲でサービスの提供をしない、出入りを禁止する、仮処分命令を申し立てる、などが指針に並んでいます。

パワハラやセクハラの措置と違うのは、②と⑧です。
相手が社外の人なので、社内の懲戒で片づけることができません。
そのため「その場でどう動くか」をあらかじめ決めて全員に知らせておくことと、悪質な相手への打ち手を持っておくことが、別に求められています。

義務のほかに「望ましい取組」もあります。
自社の商品やサービスを理解するための研修、消費者の心理や障害の特性についての研修、運用状況をアンケートなどで把握して見直すこと、などです。

2026年10月1日から義務になるカスハラ対策の10の措置を分類した図。方針の明確化と周知(①労働者を保護する方針、②カスハラの内容とあらかじめ決めた対処の内容)、相談体制(③相談窓口、④担当者の対応)、事後の対応(⑤事実確認、⑥被害を受けた人への配慮、⑦再発防止)、抑止(⑧特に悪質なカスハラへの対処方針と体制)、あわせて講じる措置(⑨プライバシー保護、⑩相談を理由に不利益な取扱いをしない)。パワハラやセクハラの措置と違うのは②と⑧。
赤い枠の②と⑧は、相手が社外の人だから別に求められている措置です。

働く人が、会社の対応に納得できないときの相談先もあります。
指針は、労働者が都道府県労働局に相談したり、紛争解決の援助や調停を求めたりしたことを理由に、不利益な取扱いをしてはならないとしています。
都道府県労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、無料で、予約も要りません。
会社の側も、従業員がここに相談できることを前提に、社内の窓口を整えておく必要があります。
→ 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)

電話での対応は、どう書かれているか

電話は、カスハラが起きやすく、しかも一人で受けやすい場所です。

厚生労働省のマニュアル(令和8年度改訂版)は、電話での対応について次のように書いています。

  • 通話内容を録音できるようにしておく
  • 基本的には最初に受けた人が責任を持ち、たらい回しにしない
  • 顔が見えないぶん、丁寧な言葉遣いで、ゆっくり説明する
  • 周りと相談するときは、相談の声が漏れないよう必ず保留にする

長時間の拘束については、対応例として具体的な目安が出ています。

対応できない理由を説明し、応じられないことを明確に告げる等の対応を行った後、膠着状態に至ってから一定時間(30分程度)を超える場合、お引き取りを願う、または電話を切る

マニュアル自身が「対応時間はあくまで一例」と断っています。
それでも、「電話を切ってよい」という目安が国の資料に書かれたことは、現場の担当者にとって大きな意味があります。

同じマニュアルには、コールセンターの裁判例も紹介されています。
わいせつな電話を受けたオペレーターが、勤務先の安全配慮義務違反を訴えた事案で、勤務先の責任は認められませんでした。
理由として挙げられているのが、あらかじめ決めてあった手順です。

  • わいせつな電話は、指示を待たずにすぐスーパーバイザーへ転送してよい
  • 同じ日に同じ人からの2回目以降は、オペレーターの判断で即切断してよい
  • 大声を出されたら、ヘッドセットを外したり、転送したりしてよい

「切ってよい」「外してよい」を先に決めて、担当者に任せていたことが、会社を守り、担当者も守った形です。
次の節のAIは、この手順を置き換えるものではなく、手順の上に乗るものです。

録音や録画については、指針もマニュアルも同じ注意を添えています。
個人情報保護法などを守り、顧客の個人情報を適切に扱うことです。

コールセンターで使われ始めたAI

AIの使い方は、大きく4つに分けられます。

使い方何をするか例関係しそうな措置
1. 声を変える相手の怒鳴り声を、内容は変えずに穏やかな声色にしてオペレーターに届けるソフトバンク「SoftVoice」⑥被害を受けた人への配慮
2. 文字にして見守る通話をその場で文字にして、管理者が画面で確認するマニュアルのコラムに例示②対処の内容(一人で対応させない)、⑤事実確認
3. 用件を先に聞く電話を受けた最初にAIが用件を聞き取り、適切な窓口につなぐみずほ銀行「AI-IVR」望ましい取組(原因の解消)
4. 記録する通話を録音し、経緯をシステムに残す各社の通話録音、事案の入力⑤事実確認、⑦再発防止

右端の列は、指針にAIの記述がないため、この記事の整理です。
指針が「AIを使え」と言っているわけではありません。

1. 声を変える:ソフトバンク「SoftVoice」

ソフトバンクは2026年2月2日、コールセンター向けのカスハラ対策「SoftVoice」の提供を始めました。
発表の要点は次のとおりです。

  • 通話中の強い口調を、発言の内容を変えずに、声のトーンや抑揚を調整して穏やかな声色に変換する
  • オペレーターがアプリのボタンを押すと、通話中にすぐ切り替わる。声色は150種類から選べる
  • 不適切な言動が続くときは、オペレーターが管理者に依頼し、管理者が承認すると相手に警告メッセージを流せる(3段階)
  • 雑音の低減と通話録音の機能もある
  • 約300人の実証で、怒りの感情の評価が7段階で平均6.5から4.2に下がった(30%以上の低下)
  • 料金は10IDで月5万円(税抜き)から。初期費用なし

東京大学大学院の研究者との共同研究をもとにした技術だと説明されています。

大事なのは「内容を変えない」という点です。
言われていることはそのまま聞こえるので、正当な苦情を聞き逃すことにはなりません。
変わるのは聞こえ方だけです。
警告メッセージを管理者の承認制にしているのも、オペレーター一人に判断を負わせない作りと読めます。

2. 文字にして見守る:通話のリアルタイム文字化

厚生労働省のマニュアルは、コラムの中で、トラブルを早くつかむための例として次を挙げています。

通話内容を文字化するシステムで、通話内容をテキストでリアルタイムにチェックする

音声を文字にする技術(音声認識)は、AIの代表的な使い道の1つです。
文字になっていれば、管理者は複数の通話を画面で同時に見られます。
オペレーターが保留にして相談しなくても、管理者のほうが先に気づけるので、「一人で対応させない」を電話の場で実行する手段になります。

文字、音声、画像といった複数の種類の情報を扱うAIについては、用語の記事で説明しています。
→ マルチモーダルAIとは|5段階でわかる用語解説

3. 用件を先に聞く:みずほ銀行「AI-IVR」

みずほ銀行は2026年1月22日、コンタクトセンターに、生成AIを使った音声対話型の自動振り分け機能「AI-IVR」を導入しました。
電話口でAIに用件を話すと、内容を解析して適切な窓口につなぎ、聞き取った用件をオペレーターに共有する仕組みです。

みずほ銀行はこれをカスハラ対策としては発表していません。
発表で挙げられている目的は、待ち時間や番号選択の分かりにくさで担当外の窓口につながる不便の解消です。

それでもここで取り上げるのは、指針の「望ましい取組」に、カスハラの原因や背景になる要因を解消する取組が入っているからです。
待たされた、たらい回しにされた、同じ説明を何度もさせられた。
苛立ちのきっかけになりやすいこうした場面を減らす仕組みは、結果として、オペレーターが受ける最初の一言を変える可能性があります。
ただし、どれだけ変わるかを示した数字は、発表の中にはありません。

4. 記録する:録音と事案の入力

指針は、事実関係を確認する手段として「録音・録画等の客観的な証拠を確認」することを挙げています。
マニュアルも、トラブルを振り返るために、カスハラに至らなかったものも含めて、申し出の内容と対応の経緯を記録することを勧めています。

録音そのものは以前からある技術ですが、文字化やAIによる要約と組み合わせると、後から探しやすく、関係部署にも共有しやすくなります。
その分、顧客の個人情報を大量に扱うことになる点は、指針の注意書きのとおりです。

AIでは代わりにならないこと

10の措置のうち、AIが直接担えるものはありません。
AIは措置を実行しやすくする道具で、措置そのものではないからです。

コールセンターで使われ始めたAIの4つの使い方と、関係しそうな指針の措置を並べた表。声を変える(ソフトバンクのSoftVoice)は⑥被害を受けた人への配慮。文字にして見守る(厚生労働省マニュアルのコラムに例示)は②一人で対応させないと⑤事実確認。用件を先に聞く(みずほ銀行のAI-IVR)は望ましい取組。記録するは⑤事実確認と⑦再発防止。AIを入れても残るのは、正当なクレームとの線引き、方針と相談窓口、障害や高齢の人への配慮、個人情報の扱いの4つ。措置との対応は記事の整理。
右端の列は指針に書かれたものではなく、この記事での当てはめです。

とくに次の4つは、AIを入れても残ります。

1. 正当なクレームとの線引き
声を変えても、文字にしても、「これは正当な申入れか、カスハラか」の判断は人がします。
実態調査で最も多かった課題(25.9%)は、この線引きでした。
AIに「カスハラらしさ」を判定させて自動で通話を切る、といった使い方は、指針が求める「正当な申入れはカスハラに当たらない」という前提と衝突するおそれがあります。

2. 方針と相談窓口
①の方針と③の相談窓口は、会社が決めて知らせることそのものです。
道具を買っても、方針が書かれていなければ、担当者は「どこまで耐えればよいのか」が分かりません。

3. 障害のある人や高齢の人への配慮
リーフレットは、対策を講じる際に、消費者の権利や、障害者差別解消法の不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供義務に留意するよう書いています。
話し方がゆっくりな人、声が大きくなりやすい人、同じことを何度も確認する人を、仕組みが一律に「問題のある通話」と扱わないよう、設定と運用を確かめる必要があります。

4. 個人情報の扱い
録音、文字化、要約は、どれも顧客の話した内容を保存します。
どこに、どれだけの期間、誰が見られる形で残すのかを決めるのは会社です。
AIのサービスに通話データを渡す場合は、そのデータが学習に使われるかどうかも確かめてください。
→ 生成AIに入力してよい情報とだめな情報|設定だけでは防げないこと【2026年9月】

導入の前に確かめたい点を、表にしておきます。

確かめることなぜか
変換した声と、元の声のどちらが録音に残るか事実確認で使うのは、実際に言われた内容です
警告や切断を、誰の判断で行うか担当者一人に判断を負わせない、が指針の考え方です
通話データの保存先と保存期間、学習への利用個人情報保護法への対応の前提になります
障害や高齢で話し方が違う人への影響合理的配慮との関係を確かめるためです
使わなかったときの手順が決まっているかシステムが止まった日にも、切ってよい基準は必要です

小さい会社の場合:3つから始める

実態調査では、カスハラについて実施している取組が「特にない」企業が55.8%でした。

10月1日から、規模にかかわらず措置が必要です。コールセンターも専用のシステムもない会社が、まず作るとよいのは次の3つです。

1. 方針を1枚にする(措置①②)
「カスハラには毅然と対応し、従業員を守る」と書き、その下に、その場での動き方を4行で書きます。
上の人に指示を仰ぐ、一人で対応しない、犯罪に当たるものは警察へ、社長(または本部)に報告する。

2. 相談先を決める(措置③)
社内に担当を置けないなら、外部の窓口に委託することも指針で認められています。
名前と連絡先を、全員が見える場所に書いておきます。

3. 電話のルールを決める(措置②⑧)
マニュアルの例示をそのまま使えます。
「応じられないことを伝えてから30分程度で切ってよい」「同じ内容の電話が繰り返されたら、窓口を一本化する」。
スマートフォンや固定電話の通話録音機能を使えるかも、あわせて確かめておきます。

マニュアルは無料で公開されていて、自社の状況を確認するチェックリストも付いています。
決める項目が多すぎると感じたら、上の3つだけを先に作り、残りはチェックリストで順に埋めるのが現実的です。

業種に合わせた資料も出ています

厚生労働省は、企業マニュアルのほかに、業種別のマニュアルも公開しています。
掲載されているのは、宅配業、スーパーマーケット、飲食、教育、介護、障害福祉、地方公共団体です(令和8年9月時点)。
自社の業種があれば、そちらのほうが場面の例を読み替えずに済みます。

また、消費者の心理、障害特性、認知症の症状についての啓発資料も、厚生労働省が案内しています。
正当な申し出と、配慮が必要なやり取りを見分けるために、先に目を通しておく資料です。
→ 業種別カスタマーハラスメント対策マニュアルについて(厚生労働省)

AIの電話窓口に、自分で電話してみた

私は元システムエンジニアで、いまはAI分野の記事を書く仕事をしています。
2026年9月30日、大手金融機関のサポート窓口に、銀行の定期預金の口座の手続きのことで電話しました。

最初にAIが「オペレーターやWebサイトでサービス番号がわかる方はその番号を入力し、わからない場合は0を押して下さい」と聞いてきたので、まずは0を押しました。
その後「ご用件を音声でお話しください」と聞いてきたので、用件を伝えました。
人につながるまで1分00秒で、言い直しをしたのは2回でオペレーターへと繋ぎました。
オペレーターは最初から「定期預金の件ですね」と用件を把握していて、同じ説明はしませんでした。

うまくいかなかったのは、話している内容を聞き取ってもらえず、2回言い直したことです。また最初のサービス番号入力のところで0を押そうとしたところ、すぐに「もう一度おかけください」となり、1回目はうまくいきませんでした。
このように失敗が続いたので、言い直すたびに、少しずつ語気が強くなっていく自分に気づきました。

受ける側の負担は、電話がつながる前から始まっているのかもしれません。しかしオペレーターにつなぐ前に何度もキー操作をせずに、一度音声で用件を認識してもらえれば、スムーズにその後は手続きができたので、従来の電話での問い合わせの際に感じる苛立ちはほとんどありませんでした。

よくある質問(FAQ)

Q1. 10月1日からは、客の苦情はすべて断ってよいのですか。

いいえ。客観的に見て社会通念上許容される範囲の苦情は「正当な申入れ」で、カスハラには当たりません。指針が求めているのは、苦情を断ることではなく、カスハラから働く人を守る仕組みを整えることです。障害のある人が配慮を求めること自体も、カスハラには当たりません。

Q2. 小さい会社や個人事業も対象ですか。

人を雇っている事業主は、規模や業種にかかわらず対象です。10の措置が必要になります。まずは方針を1枚にまとめる、相談先を決める、電話のルールを決める、の3つから始めるのが現実的です。厚生労働省のマニュアルとチェックリストは無料で公開されています。

Q3. 電話はどのくらいで切ってよいのですか。

厚生労働省のマニュアルは、応じられないことを明確に伝えたあと、膠着状態になってから一定時間(30分程度)を超える場合は電話を切る、という対応例を示しています。ただしマニュアル自身が「あくまで一例」としているので、自社のルールとして時間を決め、あらかじめ従業員に知らせておくことが大切です。

Q4. 通話を録音してもよいのですか。

指針とマニュアルは、事実確認の手段として録音や録画を挙げています。そのうえで、個人情報保護法などを守り、顧客の個人情報を適切に扱うよう求めています。録音していることを冒頭の案内で伝える、保存期間と閲覧できる人を決める、といった運用を先に決めておいてください。

Q5. AIの対策サービスを入れれば、義務を果たしたことになりますか。

なりません。指針が求める10の措置は、方針の明確化、相談窓口、事実確認、再発防止などで、どれも会社が決めて行うことです。AIのサービスは、そのうち「一人で対応させない」「事実を確認する」「担当者の負担を減らす」といった部分を実行しやすくする道具です。指針にもマニュアルにもAIの記述はありません(2026年9月25日確認)。

Q6. 声を穏やかに変換すると、正当な苦情が伝わらなくなりませんか。

ソフトバンクの発表では、SoftVoiceは発言の内容を変えずに、声のトーンや抑揚だけを調整するとされています。言われている内容はそのまま聞こえます。ただし、事実確認に使う録音が変換前と変換後のどちらになるかは、導入前に確かめておくべき点です。

Q7. 従業員が取引先にカスハラをしてしまった場合は。

指針は、他の会社の従業員に対する言動についても、カスハラを行ってはならない旨の方針をあわせて示すことを「望ましい取組」としています。また、他の会社から事実確認などへの協力を求められた場合は、応じるよう努めなければならないとされています。自社が顧客側になる場面も、方針の対象に入れておくのが安全です。

まとめ

2026年10月1日から、カスハラへの対策はすべての事業主の義務になっています。
根拠は改正労働施策総合推進法と、2026年2月26日公布の厚生労働省の指針です。

カスハラは、①顧客等の言動が、②社会通念上許容される範囲を超え、③働く人の就業環境が害されるもの。3つをすべて満たすものです。
正当な苦情や、障害のある人が配慮を求めることは当たりません。

会社が講じるのは10の措置です。
パワハラやセクハラと違うのは、その場での対処をあらかじめ決めて知らせることと、悪質な相手への対処の体制を持つことの2つです。
電話については、録音できるようにしておくこと、膠着から30分程度で切ってよいという例が、厚生労働省のマニュアルに示されています。

コールセンターでは、声を穏やかに変える、通話を文字にして見守る、用件をAIが先に聞く、記録を残すといったAIの使い方が出てきました。
どれも措置を実行しやすくする道具で、正当な苦情との線引きと、方針を決めることは人の仕事のまま残ります。

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この記事は「AI活用」の1本です。

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 音声を文字にする、声を変換するといった処理の土台にある考え方です。

用語の全体像はこちらで確認できます。
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この記事を書いた人:kkazuki|AI/DX分野ブログ運営者 → 運営者情報

※制度の内容は2026年10月13日時点の情報です。この記事は法律の解釈を示すものではありません。自社の対応は、厚生労働省の指針とマニュアル、都道府県労働局の窓口で確認してください。サービスの料金と機能は各社の発表時点のものです。

参考

2026年9月25日に確認し、10月13日に施行日と国の資料の掲載状況を確認しました。

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